− NO BELiEVE −




第28話  レモンティーの夜



「で、これからどうする・・?」
「どうするってなにがよ」

僕の質問にまたレイカは質問で返した。

「明日、学校行く?」
「・・・・明日だけは・・・いいわ」
「そうだよね、僕も・・・」

そういってまた沈黙になる。

「あんたも風呂入ってきちゃいなさいよ」

レイカは言う。

「・・・わかった。じゃあ入ってきちゃうね」

僕は全力を振り絞るかのように力を入れて体をベッドから起きあがらせ、
着替えを持って部屋から出た。レイカは布団に横になってて動かなかった。


ザァーーーーーーーーーーーーーーー・・・・パチパチ

まずシャワーをひねり、体を洗い流す。
頭をぬらして気分的にすっきりさせたかった。
が、やはりすっきりしない。

石鹸をタオルにつけて体にこすりつける。左手から始め、左肩、左胸を
たどり左脇、左腰、お腹、右腰、右手、右肩、右脇、右胸とこすりつける。
そのあとで右の太股を洗い、僕のモノの皮をむき、そこに石鹸をこすり
左手で手洗いし、左手を洗い、左の太股を洗い、そのまま左足の裏まで
洗い、右も同様。そのあとに背中を乾布摩擦のようにしてこすりつけ、
シャワーをひねり、洗い流す。左耳に一個だけあけたピアスに消毒ジェルを
つけ、Naturgoの男の泥洗顔を手に少量取り、顔を洗う。そのあとに適当にある
シャンプーの中から「Natural Hair Soap」とかかれたボトルから取り出して
髪に思いっきりつける。そしてそれをいっきに泡立て、洗い落とす。シャンプー
が完全に落ちたらピアスのジェルも落とす。そしてからもう一度泥洗顔を
取り出し、顔を洗う。いつもは髪を洗った後に洗うのだが、今日はすっきり
したかったから2回洗う。

すべてきれいにしたところで風呂にはいる。そのままなにも考えず・・・・
考えることが出来ず、そのまま上がり、バスタオルで体を拭き、薄手の
パジャマに着替える。そして冷蔵庫をあけ、数ある種類のペットボトルから
午後の紅茶「レモンティー」を取り出す。僕的にはそんなに好きではないのだが、
レイカはレモンティーがすごく好きだから。

僕は階段を上がり、自分の部屋のドアを開けた。

「おかへりぃー」

横になってたレイカがふとチーズ蒸しパンを口にしながら言う。

「結局なに食べてるんだよー」
「しかたないじゃないの。お腹空いたんだからー」

僕は苦笑した。そのまま僕がドアから一歩進むと、ドアは閉まった。

「あんたこそなにゴゴティーもってきてんのよ」 
「あ、いらなかった?」
「しかたないわねぇ・・・アタシが飲んであげるわよ」

そういってゴゴティーに手を伸ばし、自分のグラスにつぎ、僕のグラスにも
ついでくれた。

「あんたも飲むでしょ?」
「うん」

そして僕たちは一気にそれも飲み干した。
そしたらレイカはまた横になる。

「あんたも楽にしなさいよ。ボーっと突っ立ってないで」

ここはレイカの部屋??
う〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜む・・・・・・・
そんな事も考えながらベッドの上に乗ってレイカのいる床の方を向いて横になる。

「ちょっとアンタ!!」

目があった瞬間レイカが突っかかる。

「な、なんだよレイカ・・・」

いきなりの怒鳴り声に驚く。

「アンタ、アタシを床の布団に寝かしとくつもり??」
「な、だ、だってそこしかないじゃんか」
「アンタねぇ・・・アタシがベッドに寝るって言うのが世間の常識なのよ!」

じょ、常識・・・ここまでくるともう逆らえない・・・・

「じゃあ・・・僕が布団で寝るよ」
「いや、それだとアンタ、かわいそうすぎるわ」
「いや、大丈夫だよ」
「大丈夫じゃない!」

・・・・・・はぁ?

「じゃあどうするんだよー」
「アンタはここにいる!そしてアタシもベッドに入る」
「レ、レイカ!??」

そ、そんなことしていいのか!?
な、なに考えてるんだ!?

「そ、それなに言ってんのかわかってんのレイカは!?」
「当然よ。アタシとアンタ、一緒のベッドで寝る。それだけよ」
「そ、それだけって言ったって・・・・」
「なによぉ、なにか変なこと考えてんのぉ?」
「・・・・いや、変な事って?」
「・・・・言わせんの?」
「い、いや・・・なんだろうなぁ・・ってねー」

かなりからかい口調で僕が言う。

「問答無用!入るわよっ!」

そういってレイカはベッドの中に入る。
確かにこのベッドは1.5人分のスペースはある。
でも2人分ではない。レイカが入った瞬間僕はレイカの体熱を感じた。
暖かい感じがベッド全体を通して伝わる・・・

「カズキ、こっち向いてよ」

僕はレイカにかなり背を向けてた。なんかとてもハズイ気分になってた。
僕はレイカの方に顔を向けられなかった。

「ねぇカズキ・・・」

なんか話し方が違う・・・僕はふとレイカの方を向いた。

「きゃは☆やっとこっち向いた!」

そういってレイカは僕の顔をレイカの方に向けさせるように固定させた。

「どう?」
「どうってな、なにが?」
「女の子とふたりっきりで一人のベッドで寝ること♪」
「な、なんか・・・いいね」
「キャハハ!でしょ!でもアンタ、アタシのこと女だと思ってる?」

一瞬の沈黙

「思ってるよ」

僕は微笑して言う。

部屋は少し暗い。少し電気の光がオレンジ色に光ってる。
クーラーの音が静かに響いてる。

「本当にぃ?」
「本当だよー」
「なんか信じられないわね・・・」
「な、なんでぇ?」

そう僕が言ったとたん、レイカは僕の手を持ち、自分の胸に当てた。

「!!」
「どぉ・・やわらかいでしょ」

やわらかい・・・女の子の独特の柔らかさ。
すごく暖かい・・・

「レ、レイカ?」
「フフ!これでアタシが女って事、わかったでしょ!?」
「・・・・うん」
「なに赤くしてんのよ!バカカズキ!」

顔がすごいなんか火照った感じがする。
でも、このままだともうレイカを・・・抱いてしまいそうだ・・・・

「・・・ねぇ、でも、カズキ・・寝れる?」
「ね、寝れるって??」
「・・・・今日、全部夢だといいのに・・・・」

そういうとレイカは僕から目をそらした・・・

「・・・・最悪よね、大人って」
「・・・うん」
「もう、本当になにもかもウザイ。なんか・・・もうこの世界でやっていける
かな・・・って」
「レイカ・・・・」

そういうと僕はそっとレイカを包み込むように抱きしめてやる。
ここまで弱いレイカを見せてくれたの、初めてだ・・・

「カズキ・・・・・・・」
「レイカ・・・・」

レイカは僕の胸の中にうずくまる。

「・・・だから・・・だから今日だけでも・・・」
「・・・・・・」

ただ僕は少し抱きしめる力を強めた。

「・・・・うっ・・くっ・・・」

泣いてる・・・・レイカが僕の前で泣いてるのなんて、初めてみたかもしれない・・・
僕はただ、強く抱きしめることしかできなかった。僕も一緒に泣きたかった。
でも今ここで僕の感情を発散させるより、レイカを落ち着かせた方がいい・・・
そう思ったから・・・・だから僕は、やさしくレイカがいいと言うまで、ずっと
ずっと抱きしめておこう・・・そう思った。




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