− NO BELiEVE −




第24話  凍結破壊のメール



「こ、これはっ!!??」

道にうずくまって倒れてる静谷を見ていた僕たちの前に現れたのはさっき静谷と
一緒にいた河井と、あと数名の教師だった。

「おまえたち!!これはどーいう事だ!!!」
「・・・・・」

ほとんどの人がすでに固まってる。
僕やマサトはこれ以上無いようなにらみをやつらにぶつけた。

「あぁ?なんだその目は!」
「うるせぇ!!!!」

マサトがいきなり大声で叫んだ!

「こいつは、こいつはマサヒロを、マサヒロを殺しやがったんだ・・・!!」
「!!!」
「こ、こいつが・・・こいつが・・・くっ・・・・・・・う・・・」

ようやく叫んで状況を完全に把握出来たのか、マサトの目からは涙が流れ落ちてき
た。先生たちは呆然と固まった。

「マサヒロ君は・・・どこにいる?」
「救急車・・・・でも脈がなかった・・・・」

目をあわせずに僕は答える。
どうすればいいのかは僕にはわからなかった・・・・

教師の一人、一応教頭をしてる高橋が道にうずくまって倒れてる静谷の前に座り、
血だらけになってる静谷の脈を見始めた。半数以上の人はこの血だらけの静谷を
見れず、ただただ目をそらすばかりであった。

沈黙の時の流れ・・・だれもなにも一言も口を開く事が出来ない状態の中、高橋は
骨が折れてるかもしれない腕を取り、脈をはかったが・・・高橋は硬直した。

「・・・・・・救急車だ、早く呼べ!!!」
「もうすでに呼んでます」

高橋の叫びに河井が応える。脈が動いてたのか、動いてなかったのか・・・
その事に高橋は一切口を開く事はなかった。

− − − − − − − − − − − − − − − − − − − −

「朝奈さん」
「・・・・やはりこうなってしまったのね・・・」
「・・・・でもこれも計画の・・・・」
「わかってるわ・・・あとはエスカーテシステムが作動すれば計画の大きな一歩に
なるのよ・・・」
「・・・・罪も無い人の命をなくしてまで、そこまで価値あるものなんですか!?」
「・・・・でもこのままだとすべてのヒトの命は、いえ地球は絶望に満ちるように
なるのは目にみえてる・・・それに成功すれば、死んだ人も生きかえらす事は出来
るのよ」
「それをヒトが望めば・・・ですよね」
「・・・・」

− − − − − − − − − − − − − − − − − − − −


ガチャ、バン!


静谷と高橋は救急車に乗り、病院へと運ばれた。

「・・・・・」

河井を含む教師達はどうすればいいのかよくわからずただぼーっとしてる。

「あ、河井先生!どこへ?!」

河井は学校の方に走っていった。
僕達にとっては教師はすでに眼中になかった。

「・・・・マサヒロ・・・生きかえれるかな」
「それしか祈れねーぜ。今の俺達はな」
「希望・・・持つしかないか・・・」
「・・・そうよ」

レイカが小さく少し震えた声で応える。
切れるなどという感情をもうすでに通り越して、すでに何も出来ないような状態に
なっていた。

「・・・・・・」

ピピーッ、ピピーッ、ピピーッ!
ピリリ!ピリリ!ピリリ!

僕とマサトのPHSが同時に高鳴る。
それはこの凍り付くような空気を砕くようなPメール。

“至急連絡!ヒロシ 0327439912X”

「・・・・・・」
「・・・かけてみよーぜ」
「・・・・ああ」

"032-5448-331X"

・・・プルルルル、プルルルル、プルルルル

ガチャ。

「・・ヒロシ?」
「・・・・・・・・だめだった・・・」
「えっ??」
「マサヒロ・・・もう死ぬって・・・・もってあと10分・・・」

僕は硬直・・・
その表情をマサトはただただ見つめる。

「・・・・・・・・・・」

電話での沈黙。これがどう意味するのかマサトはわかったのか、
僕からPHSを奪いとる。

「ヒロシ!」
「・・・マサト」
「・・・・・・・・・・・・」
「もう・・・10分で・・・死ぬって・・・」

マサトはヒロシのもう希望も何もない状況がひしひしと伝わってくるような声を
聞いて、何も出来ないような状況に陥った。

「・・・どこだ!10分でいける距離か!?」
「・・・救急車で・・・5分くらい」
「開南北共済病院だな!?違うか!?」
「そう・・・」

「おい!今すぐ行くぞ!!北共済だ!!」

マサトが叫ぶ。北共済・・・・とても足じゃ10分でいけるような距離じゃない・・・

マサトは叫ぶとすぐに走り始めた。僕もレイカ達と一緒に後を追う。
だがその道を一つの大きめのワゴン車が暴走し、道をふさいだ!

キキキキキィーーーー!

「うわあ!!!!っざけんな!!!」

マサトの目の前ぎりぎりのところでワゴン車は止まった。
マサトも思わず後ろに倒れこんだ!

「おい!!どこにそのマサヒロって子は入院してんだ!!」

運転席の窓を開いて叫んだのは、金の髪をした男・・・

「んだこらぁ!北共済だ!!さっさとどけや!!!」

マサトは逆上して叫んだ。

「北共済だぁ?おい!マサヒロと仲いいの!お前とお前とお前!」

そういって河井はマサトと僕とレイカに指差した。

「さっさと乗れ!!かっ飛ばすぞ」

僕達は一瞬ぼうぜんとしたがすぐに状況が把握でき、何も言わずに後ろのドアを
開けて中に入った。

「か、河井先生!そんな暴走していいとおもってるんですか!?」

高橋が叫ぶ。

「ヒトのダチが死ぬのをただ見逃ってのはいいと思いませんので」

河井はくわえタバコしながらただそういい、思いっきりアクセルを踏んだ。

前にいた高橋は車を止められずに横に飛んだ。

「おらぁー!!!飛ばすぜ!!」
「あ、アンタ・・・だれだかわかんねーけど・・・礼言うよ」

マサトがそう言う。

「ああ?お前俺の事しらねーってかぁ?」

ハンドル片手にピースに火をつけながら言う。
信号赤を全く無視して突っ走る!

「きゃあ!!」

レイカがこのあまりの暴走ぶりに思わず叫ぶ。

「ちょ、ちょっとアンタ!もちょっと押さえてよ!」
「もたもたしてんと死んじまうだろ!?ちがうか!?」

そう河井が言うとレイカは何も言えず、ただシートベルトを閉めた。

「ア、アンタ誰だ?!」
「河井・・・先生ですよね?」

僕がそう聞く。

「おう!お前は知ってたんか!うれしーぜ」
「か、かわい??」

マサトが「誰だ?」って感じの声で口を開く。その時!

「げ!やーべぇ!!」

そう河井は叫んでさらにスピードをあげ、
次々に前の車を時たまぶつけながらかわし、猛スピードで突っ走る!

「キャアアア!!!」
「ウワア!!」

僕達は思わず声をあげる。

「今マッポ捕まるわけにゃーいかねー!!」

河井はそう叫んで取り付かれたようにハンドルを握る!
僕が後ろに振り向いた時にはマッポが後ろで追いかけていた!!

「そこの暴走盗難車!はやく止まりなさい!!」

と、盗難!!!?

「お、おい!!どいう事だ!??」
「手頃な車がこれしかなかった!!」

河井はただそう答えた。

「おらぁ!ついたぞ!!」

そう河井が叫ぶと思いっきりブレーキを踏む!

「ウワァァァ!!」

僕達は思わず吹き飛ばされそうな感覚に襲われる。
北共済の前で見事フルストップ!

「おらぁ!!!早く出ろ!!」
「アンタは??!」

マサトがそう聞く。

「俺は逃げきる!!」
「に、逃げきるって・・」
「・・・はよでろやー!!!!!」
「・・礼は必ずするぜ!」

そうマサトが言って僕達は車の外に出た。
マサトがそう言った瞬間河井はピースくわえながら、すこし笑ったような気がした・・・

マサトが思いっきりドアを閉めると前がすでにボコボコにやられていたワゴンは
一瞬のうちに走り去り、その後をパトカーが一瞬の差で追いかける。

「行こう!!」

僕はそう言って北共済の入り口の方に走る。
マサトやレイカも後を追っていった。
ただただマサヒロの生きてる姿を人目みようと・・・



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