− NO BELiEVE −




第20話  ドッグレスキュー隊



「うーん。今日はめずらしく寝坊しなかったね、カズキ!」
「ふわぁぁぁ・・・・眠ーい」

僕はレイカといつものあくせくしない朝食とはまったく逆の、のーんびりとしてる
朝食をとっている。

「ほら、早く起きたからってのんびりしてないの!」
「うーん・・・いいじゃないかよ・・・まだ7時だよ」
「たまにはのーんびりと登校するのも気持ちいいわよ」
「そ・・・そうかなぁ・・・・」
「早く行こ!カズキ!」

僕達は玄関から出た。

「・・・眠そうね?」
「・・・・ふーんだ」
「な、なによぉ?なんか文句あるわけ!?」
「何も6時に起こさなくてもいいじゃないか・・・」
「アンタが早く起きないのがいけないんでしょ!!昨日だって遅刻しそうになった
んだから!!問答無用!!もう目、覚めてんのに文句言わない!」

実は先週、レイカと僕は遅刻をしてしまったのだ。もちろん静谷には大目玉をくら
ってしまった。そして静谷はとんでもない言葉を僕達に吐いたのだった。
「いいかおまえら!!クラス替えがあるまで、遅刻の回数=次回おまえらが入るク
ラスのレベルをワンランクダウンだ!!いいな!!」
まったく最低な担任だ・・・)

「ふわぁぁぁ・・・・あと何日?」
「今日は19日だから・・・土日入れないであと7日」
「・・・・はぁ・・・・」
「んもーーー!!朝っぱらから溜め息なんてついてんじゃないわよ!!」
「・・・ご、ごめん・・・でも、キツイよ・・・・」
「なーに甘ったれた事言ってんのよ!たった7日じゃないのぉ!」
「う、うん・・・・」

僕とレイカはそういったほのぼの会話をしながら通学路を歩いていった。でも、途
中でレイカのある発見でそのほのぼの会話はストップした。

「・・・ねえ、何か聞こえない?」
「えっ?」
「何か、犬のような泣き声・・・」

僕は少しだけ耳に神経をむけてみた。すると・・・

「・・・キャン・・・キャン・・・・」

と小さな小犬が近くで泣いてるのが鮮明に聞こえる。

「ほ、ほんとだ・・・・」
「な、なんか無気味ね・・・・どこに犬なんている?」

僕達はいったん歩くのを止め、あたりを見回した。まわりには高層マンションが見
渡す限りに立っているだけだった。犬はおろか、人すら僕達の回りには今はいなか
った。

「・・・いないよぉ」
「でも聞こえるよ!ほらぁ!」

「キャン・・キャン、キャン・・・!」

「えー!どこにいるんだろう・・・?」

僕達がちょっと不気味がってるそのとき、


ビィィィィィィィィィィィィィン

「フフフーフフーン♪・・・・あれ?あれはカズキとレイカ?」

エアーバイクでの登場はマサトだった。僕達がマサトの視界に入るとすぐにブレー
キをひいた。

キキィ・・・・

「いよお。なにやってんだぁ?朝っぱらから。アオカンの前戯?」
「違うよ!!!!!!!!!!」「違うわよヘンタイ!!!!!!!!!!」
「じゃ、なにやってん?」
「いや、犬の声が聞こえるんだ」
「犬の声・・・・?」

マサトも耳を少しだけ澄ました。

「確かに聞こえんな・・・・どっからだよ?」
「わかんない」
「わかんねーだぁ?ゼッテーにこの辺だぞ」
「でもいないのよ!アンタ、探してみなさいよ!」
「何で俺が!?」
「あーら!アンタの窃盗バイク通学および無免、チクってもいいんなら・・・」
「学校にチクろうとなんにもなんねーよ!」

マサトがそうザマアミロといった声で言うと、レイカはおもむろにポケットからピ
ッチを取り出し、どこかに電話掛けようとする。

「・・・どこに電話掛けようとしてんだよ!?」
「アンタのよーく知ってる番号!」
「えっ・・・・ままままさか・・・・」
「1・1・0番!!アンタのバイクナンバーも今ちゃーんと覚えたわ!!」
「・・・・マ、参りました・・・・なんでもなんなく申し付けください、レイカ
様・・・」

ちょっと尊敬。よくも簡単にマサトを丸め込む事ができるものだ・・・・

「じゃあさっさと犬の居場所、探しなさいよ!」
「へーい・・・」

マサトはしぶしぶとバイクから降りて、回りを見回した。

「でも、まわりはカイナンヒル団地のマンションしかないな・・・・ん??」

ふとマサトが下を向いた。つられて僕達も地面の方に目線をやった。

「これ、違うか?」

マサトは自分の足元にあるものに指を差した。指の先にみえるのは一つのマンホー
ルだった。

「あそこにももう一個」

マサトは僕達のすぐ後ろにもマンホールがあるのを見つけ、指差した。

「ま、まさかぁ?」
「いや、よーく聞いてみろよ。地面の方から聞こえねーか?」

僕達は耳を澄ましてよーく聞こうとする。

「・・・キャンキャン!」

確かにいわれてみると犬の声は地面の下から聞こえる。

「・・・マンションの地下に、住民が住んでるのかな?」
「キチガイ!?そんなわけないじゃないのバカカズキ!!」
「マンホールの中に閉じこめられたみてーだな・・・」
「マジで!!?」

僕はちょっと大きめな声で言った。

「ああ・・・多分な」

僕達は少しのあいだしばし茫然とマンホールを見つめていた。

「助ける・・・しかないね・・・」
「ああ・・・」
「そうね・・・・」

そして僕とマサトはマサトの足元にあるマンホールの取っ手をつかんだ。

「せぇのっ!!!」
「ふんぬーーーーーーーーーーーーーー!!」

そんなところに旗本ユリコとその近所の友達が歩いてきた。

「レイちゃんおはよー」
「あれ、ユリー。おはよう」
「あの二人、何やってるの歩道のマンホールで」
「犬が・・・マンホールの下にいるみたいなの。ほら、聞こえない?」

旗本は耳を澄ます。それにつられて旗本の友達も耳を澄ます。

「・・・・・あ、聞こえる・・・・」
「でしょ?」
「でも、もう27分だよ」
「それどころじゃないわよ!」
「・・・わかった、じゃあ私達も遅刻してあげる!」
「ありがとうユリ!」          

僕達にはそんな会話はまったく聞こえず、ただ必死でマンホールをこじ開けようと
した。でも・・・

「駄目だ・・・びくともしない・・・」
「まだあきらめんなって。もう一回!せーのっ!!」

「あれ、なにやってるん?」
「松阪に岸本!」
「遅刻するぞぉ」
「そんな事よりアンタ達!カズキ達を手伝いなさいよ!!」
「えー・・・遅刻しちまうから」
「そんな事、どうだっていいでしょ!イヌ一匹の命、かかってんだから!」
「えっ・・・どいうことだ〜、それ?」
「だからぁ、マンホールの下に小犬がいるの!!」
「助けてあげてよ・・・松阪君に岸本君・・・お願い」
「いや、俺は遅刻しちまうから・・・・」
「岸本!アンタそれでも男なの!!?」
「そ、そんなこといっても・・・」
「ま、いいじゃねーか。なんか面白そうだしな」
「松阪!」
「・・・そこまでゆうなら・・・ちょっとだけだぞ」


「駄目だ・・・二人だけじゃ無理だよ・・・」
「ああ、誰か助け呼ばねーとな・・・」
「あ、マサヒロにヒロシ!」
「いよお、手伝ってやるぜ」
「サ、サンキュー!」


「何やってるのぉ〜?ユリちゃんにレイカさん」
「あ、布絵さん!」「ヒロちゃん!」
「犬がマンホールの下にいるのよ・・・」
「えー!」
「今、みんなで助けようって」
「へー!じゃあ私もここで助け、する〜!」
「アリガト!」


「・・・何か、人だかりが出来てきたみたいね・・・・」
「うん、なんかね」

かなり見学者が増えてきた気がする・・・
うちのクラスの人が大半だ・・・うちの方から通ってる人はほぼ全員ここに集まっ
てる。他のクラスの人や、先輩達、他の学校の人達までも集まってきてる。

「なにやってるんだー?」

誰か一人が叫んだ。そこにすかさずマサトが、

「ここかあそこのマンホールの中に犬がいるんだ!誰か手あいてる奴助けてくれ!」
「とりあえずお前ら4人でやってみ」

前の方にいる一人が言った。

「んー。じゃあ、やってみっか?」

マサトが金色の髪ををかき上げながら言う。

「じゃ、やってみよう」
「おう。じゃ、いくぞ!せーの!!」

「んくっ・・・」

バアン!

やった!
やっとマンホールが開いた!!
ちょっとみんな喜びの色を見せる。

「あれ・・・・・犬は?」

でも・・・・犬の姿は、どこにも見当たらなかった・・・・



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