− NO BELiEVE −




第18話  いけない本番



それから1ヵ月後にはアタシの芸名も「永山サラ」ときまってしまった。
かってにアタシにマネージャーをつけ、アイドルであるように見せかけられた。

その後はレンタルビデオ屋でデビュー。
2ヶ月後にはビデオの女王にされ、テレビにも出演する事になった。
アタシは嬉しい反面、こんな事やってるんだっていう後ろめたさもあった。
でもアタシはもうなるがままになれという感覚になってきた。

そしてまた半年後には3つの深夜番組のレギュラー、
ゴールデンタイムにも登場決定。
はたから見るとアタシは豪華な暮らし、
だけど本当は地獄の延長。
アタシはただスターになって歌いたかった。
だけど今じゃ一曲だけデビュー。
レコード会社はまったく受け入れてもらえず、
何とか受け入れてくれた会社はCMカットを要求。
「CMせずに売れるはずない。」
アタシのその考えぴったり当たった。
アタシはショックをすでに通り越してた。
アタシの手にはいつの間にか白い粉と注射器を握ってた。

そしてアタシは段々人気がなくなってきた。
性格が悪くなったという噂が流れたのが原因。
無理よ・・・・人なんか、信じれないもの・・・・
男なんて・・・・信じれないもの・・・・
アタシを性的処理の道具だとおもってる、男なんかを・・・人間なんかを・・・
性格が良くなれるはずなんて・・・・無いわ。
今じゃただ一つだけ夜のテレビのレギュラーしてる。
売れないアイドルになってしまったの。
もう少ししたら完全におよびでなくなるわ・・・
そうしたらアタシ、完全に失業だね・・・・
でも無理、これ以上アタシもうやっていけない・・・・  

− − − − − − − − −

ガチャ。

風呂から上がり、アタシはそっと曇った鏡を覗く。
アタシの顔はすでにボロボロ。
無理矢理スタッフにいじくりまわされ、
化粧無しだとすべて最悪の顔となった・・・

前に飯島愛さんに会って話をした。
あの人は噂だと化粧落とすと化け物って話聞いてたけど、
実際見てみて本当に絶望、
アタシの顔と状態ほとんど同じ、
肌の死んでるような色から顔のしわの形までほとんどそっくり。
もう・・・・アタシは汚されたわ・・・・・
アタシは・・・・愛さんのように強くはないから・・・・・


ガラッとアタシは引出を開ける。
そのまま中をじっと見つめる。
何でこんな事してるんだろう・・・・
そう思いながらも手が中に入る。

砂糖の袋に入った粉。
アタシを助けてくれた薬。
神はアタシには微笑まないの。
人生そんなに甘いものじゃないから。

アタシはいつもと同じ、
前回より少し多めで紙にのせ、
鼻から吸って妄想に走る。
妄想の中の天国へと飛んでく・・・・

よろけるようにベッドに倒れ、
この地獄から天国へ逃避。
こんな仕事止めればいいのに、
そう他人の視線から見るとおもう。
だけどあの人達はアタシに脅すの、
「きちんとやらなきゃ親族にばらす」
親戚にはOLだと言ってるの。
だましてるのはわかっているの。
だけどばれたくない。
心配させたくない。
迷惑かけたくない。
だからアタシ、自分で全部抱え込むしかないの。

でもそれが本番女優の宿命。
アタシを見る人は多い。
でも裏でなにされてるかなんて知ってる人はいない。
たとえわかっててもマスコミは隠蔽。
互いに自分の身を守るため。
でもそれは、マスコミに優勢。

本番女優の宿命。
神に背いた行為。
白い悪魔に取り付かれた罰。

でもアタシはそうしないと・・・もう生きていけない。
もう普通の道には戻れない・・・・

・・・・アタシ、アイドルに・・・・なりたかったのよね・・・・
こんな・・・・いけない本番ばっか・・・しててよかったの・・・かな?
いけない本番・・・・していいはずないわよね・・・・
そうだよね・・・・ダメに・・・・決まってるよね・・・・・
もう・・・・アタシは・・・生きるのも・・・・ダメかな?
もう・・・・汚されちゃった・・・・心も・・・・身体も・・・・
アタシを助けてくれた粉に・・・・
アタシをいけないアイドルにしてくれた人達に・・・・


ダメ・・・・
もっと生きていたい・・・・
これからやり直したい・・・・・
でももう・・・・意識がもうろうとしてる・・・・・
苦しい・・・・
誰か・・・・助けて・・・・
助けて・・・・
助けて・・・・


もう・・・・無理みたい・・・・
薬・・・・吸いすぎたね・・・・・
ごめんね・・・・・ごめんねママ、パパ・・・・
アタシ・・・・最後まで・・・・汚かったね・・・・
ただ・・・ただ・・・歌いたかっただけなのに・・・・
人前で・・・・歌いたかっただけなのに・・・・

アタシ・・・・
ごめんね・・・・パパとママに立派な墓、建ててあげられなかったね・・・・
・・・・会える・・・・かな?
会ったらまず、謝るね・・・・
許してくれなくても・・・・
たとえ勘当するといわれても・・・・
謝るね・・・・

もう・・・行くね・・・パパ、ママ。
迎えには・・・・来て欲しい・・・・
でも・・・・アタシなんか、だめかな・・・・?
それじゃあね・・・・・みんな・・・
もう・・・意識なくなりそう・・・
もう死んじゃうのかな・・・・
イヤ・・・・イヤ・・・・イヤ・・・・・・イヤ・・・・・・・・・・・・
・・・・イヤ・・・・・・・・もっと生きていたい・・・そしてやり直したい。
でももうダメ・・・・ごめんね、ごめんねパパ、ママ、ケンちゃん・・・・
元気で・・・元気でいてね・・・・・トモちゃんにハルちゃん・・・・
アタシには・・・・アタシにだけは・・・・絶対ならないでね・・・・
約束・・・・してね・・・・・

  



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