− NO BELiEVE −





第16話  夜中のアイドル



「なんかくすぐった〜い!」
「ほんと、ん・・・んん・・・なんか乳首立ってるよぉ〜?」
「あ、本当だ。キャハハハ・・・!だってこれくすぐったいんだもん〜!」

現在時刻AM1:35。
何故か僕は眠る事が出来なかった。今もまだ熱帯夜は続いてる。でも僕の部屋には
扇風機しかない。クーラーはなぜか故障中。

ううう・・・暑い・・・
なのになんでテレビつけたらこんなのやってるの?
やっぱ男の性なのかな?
どうしても見ちゃう・・・なさけないな。

女二人組でなんか変なマッサージをされてる。
もちろん上半身裸、下も裸のモザイク入り。
そのマッサージの部屋の窓の外から西日が差してて、身体に光が輝いてる。
その光が彼女達の身体を微妙にきらきらと輝かせ、僕達の本能をくすぶらせる。

「ん・・・・んん・・・。気持ちいいね、サラ」
「ん・・・なんか・・・性感マッサージみたい・・・・」
「ちがいますよ。ここを刺激すると胸が大きくなるんですよ」
「え〜・・・本当ですかぁ〜?」

永山サラ。
マサトの話によると半年までぐらいにデビューした。
結構名はすでにみんなに知られているAV女優。
CDデビューまでしている異例な真夜中のアイドル。
僕はそのビデオはまだ見た事はないが、
僕の好みだけで判断すると彼女はかなり可愛いと思う。

何でこんな可愛い子が・・・真夜中のこんなテレビにでてるんだろう・・・?
こんな事しなくても十分やっていけるとおもうのに・・・
でもそれは・・・僕だけの偏見なのかもしれない。
彼女自身、その道に憧れてたのかもしれない。
そういう女優になりたかったのかもしれない。
僕がとやかく言う事ではないんだ。

永山サラの身体をボーッと見てると僕のは段々膨張してきた。
情けないな・・・でもこれも男の性。
それは本能。
人でなくても有性生物なら必ず持ってるモノ。

僕の手がズボンの中に、パンツの中に入ってくる。
そう言えば最近、ヌいてないな・・・・溜まってる・・・のかな?
ん・・・・く・・・・

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コツ、コツ、コツ、コツ・・・・

ピタ。

『中岸サチコ』

ガチャ。バタン。

もう疲れた・・・・
アタシ・・・間違ってたわ。
もうイヤ・・・・
生きる事が・・・・
この仕事が・・・・
憧れの仕事のはずなのに・・・・

永山サラでいる事が・・・
もう絶対にイヤ!

「ママ!パパ!アタシ、アイドルになるの!!アイドルになっていろんな人と友達
になるの!!歌とか歌ってCDをだしてテレビとかにでて、他のアイドルと友達に
なるの!」

・・・いつもと同じ様にテレビ出て、
自分の裸をテレビにさらけ出し、
そのあとにディレクターや三流男優、スタッフとかにくどかれ、
断る事出来ぬままいつも入れられ、
まるで性欲処理のためおもちゃみたいに扱われ、
中出しされるといつものように無理矢理ピル飲まされ、
そして事務所に戻ると他の会社の人間に無理矢理レイプまがいされ、
2、3日使いっぱなしにされ・・・
アタシに終わりの処理を押し付けられ、
帰される現実が最近ではあたりまえ・・・・

「そうか!サチコはアイドルになるかー!そしたらパパやママにも有名人を紹介し
てくれよ!!ハハハハハ」
「うん!アタシ、頑張ってキムタクみたいな有名な人と結婚するから!!」

ガラガラガラ・・・・

ポチャ。

もう最近じゃ暴れる気力もない。
ここは風呂の中。
ひび割れた洗面器が横たわってる・・・

アタシが風呂に入ると風呂の水が一瞬にして汚くなっていくように感じる。
我慢できなくなる。

ゴボボボボ・・・・

栓をぬいちゃう。
風呂の水があまりにも汚くなったから。
アタシ自身汚くなりすぎたから。
汚されすぎたの、アタシ。

キュ、キュ、キュ
ザアアアアア・・・・・

またお湯を入れなおす。
何やってるんだろう、アタシ。
また入るとお湯は汚くなるのに・・・

身体がもう死んでる。
汗の臭い。
唾液の臭い。
精子の臭い。
なんか全部混ぜ合わさってる。
自分自身死にたくなっていく・・・

何でこんな風になっちゃったんだろう・・・・

「ママ!パパ!アタシ、アイドルになるの!!アイドルになっていろんな人と友達
になるの!!歌とか歌ってCDをだしてテレビとかにでて、他のアイドルと友達に
なるの!」

そうだった・・・
アタシ、アイドルに昔っからなりたがってたんだ。

「サッちゃんなら可愛いからなれるわよ!がんばりなさいよ!!」
「そうか!サチコはアイドルになるかー!そしたらパパやママにも有名人を紹介し
てくれよ!!ハハハハハ」
「うん!アタシ、頑張ってキムタクみたいな有名な人と結婚するから!!」

パパもママもアタシの事本気で応援してくれてたんだ。
そしてアタシ、6才のころから歌のレッスンとダンスのレッスンに頑張ってたっけ・・・

そして高1の時ママが死んで、それを追うようにパパも死んでいった。
アタシ、あの時思ったんだ。アイドルになって金ためてパパとママに立派な墓を建
ててあげようって。

高校が卒業して、アタシ上京したんだ。
そして小さくてぼろいアパートを借りて、東京でモデルのレッスンに通ったんだ。
あのころが一番楽しかったかもしれない・・・
すごくきつかった。
モデルのレッスンが終わった後いつも朝近くまでバイトやってたわね。
ファミリーレストランのウェイトレスやったり、コンビニで働いたり・・・
どんなバイトでもよかったのよね。
お金がもらえれば・・・

そういう生活が半年ぐらい続いて・・・
もう少し遊びたかったのよね。
キャバレーでバイトはじめたわ。
時給もすごく高かったし。
仕事自身はすごく嫌だったけど、お客の人もアタシに優しくしてくれた。
あとに聞いた話しだとアタシとやりたいがために優しくしてたらしいけど・・・
信じていたかった。

て言うかあの時はまだ処女だった。
だから誰ともする事なんかなかった。
彼氏なんて作ってる暇なかった。
高校の時もアイドルになりたい一身だった。
5才ころだったわ、アイドルになりたいって思いはじめたの。
なんでだろう・・・

そうだった。
アタシの幼馴染みのケンちゃんがアイドルと結婚したいっていつだったかアタシに
言ったんだ。
だからアイドルになるって・・・・
バカみたい・・・・

キャバレーで金かせいで久しぶりに原宿に遊びにいったんだ。
そしたら・・・スカウトマンとかなんとか名乗って神田さんが名刺差し出してきて、

「ねー君可愛いね。アイドルとかやらない?」

アタシはその言葉を始めは疑った。
でも本当だった。
アタシは信じられなかった。
あの時もうアタシは頭の中真っ白になってたわ。
アタシにとって一生あるかどうかのチャンスだって思ったの。

アタシは即座にOKして名刺をもらった。
そして数日後にその名刺に書いてある番号に電話してみたんだ。

「もしもし」
「あ、もしもしー。神田さん・・・いますか?」
「あ、俺だけど」
「あのー。この前名刺もらった中岸サチコともうしますけど・・・」
「ああ!なに?デビューする気になったの?」
「はい!もうアタシ、凄くアイドルとかに憧れてて・・・」
「じゃあ、明日平気かな?」
「はい!明日は大丈夫です!」
「明日面接を受けてください」
「はい!どこにいけばよろしいですか?」
「2時に新宿アルタ前で待ち合わせしましょう。それでは」

アタシ・・・凄いワクワクしていた。
電車の中で自分の勝手な妄想に溺れていた。
12時半にはもうアルタ前についていた。



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