− NO BELiEVE −





第15話  記憶の記録の探索



ガチャ、バタン!

「たっだいま〜!」
「あ、おかえりレイカ」

レイカが戻ってきた。現在時刻ちょうど10時半。テレビもちょうどコマーシャル
の時間帯。レイカは僕が座ってるソファーの隣に座って一息ついた。なんか疲れて
たみたいだったから、僕の方から話を切り出した。

「どんなこと話ししてたの?」
「ん〜?ちょっとね〜。いろいろとツモる話ししてたのよ」
「ふ〜ん・・・・」

答えになってない気がする。僕は聞いちゃいけない話なのかな?

「あ、そうそうカズキ!」
「ん、なに?」
「アンタ自分の昔のアルバムみたいのって持ってない?」
「な、何で急に?」
「明日アタシとユリでアルバム見せ合おうって話になって、だからカズキも一緒に
やろうよ!」
「え〜・・・一応あるけど・・・・出すの面倒くさいし・・・」
「今から出しなさいよ。アタシも手伝うから!」
「でも・・・僕も一回もアルバムみたことないし、いつのだかわからないよ」

僕でさえ自分のアルバムを一回も見たこと無いのだ。大体いつ撮ったのかもわから
ない。でも一番の理由は、ただ単に取り出すのが面倒くさい・・・

「つべこべ言わない!問答無用!今から取り出すわよ!!」
「えー!」
「えーもかーもないわ!さっさと行きましょ!」

もうこうなると僕が何を言っても無駄な状況になってしまう。僕はもう、

「はぁ・・・・」

とため息ださざるをえなくなってしまう。

「なによぉ?このアタシが手伝うって言ってんのよ?チットはアンタ喜びなさいよ!」

はぁ・・・・やれやれ・・・・


ごめんねカズキ。ここまで言わなくても、やってくれるのはわかってるんだけど・・・
一応アタシ、念には念を押しておきたかったのよね・・・・ユリとも約束しちゃっ
た事だし、アタシもカズキの過去、すごく見たいから・・・・

こんなアタシの想い、カズキには届くはずはないだろうけど、届いてくれると嬉し
いな。カズキ、鈍感だから絶対にそんなことはおろか、アタシがカズキの事好きっ
て事も絶対に言うまで気付いてはくれないよね・・・・きっと。あ〜あ、アタシも
いつか、カズキに告白するのかな・・・・

そんなことばかり考えてたからか、アタシはカズキの顔を恥ずかしくて見れなくな
った。そんな時にカズキがいきなり、

「あれ、どうしたのレイカ?顔赤いけど・・・大丈夫?」

カァ・・・・何か顔がすごく熱くなっていく気がした。何でこんなときだけカズキ
って鋭いの?でも・・・心配してくれてちょっと嬉しいな。でも、そんなこと考え
てるとなんだか少し心臓が激しく鼓動していってる気がした。よく考えてみたらア
タシのすぐ隣にカズキが座ってるのよね・・・・カズキがすぐ隣にいる・・・なん
か意識するとカズキの体温を身体全体で感じる事ができるみたい・・・・暖かい・
・・・アタシは今すぐにでも告白したくなってきちゃった・・・でも今の関係を崩
してしまうのが恐い・・・・だからアタシは、

「な、何でもないわよ!!バカ!!」

とつい逆の態度を取っちゃう。臆病ね・・・アタシも。そしてアタシは、

「そ、そんなことより早くアルバム取りに行こうよ!メンドくさいんじゃなかった
のぉ〜?」

と言って話題を切り替える。するとしかたなさそうにカズキが立ち上がる。そこで
アタシはカズキの後ろに回り、背中を押して、

「ほらほら早くゥ!」

と言ってカズキを急かせた。話題を切り替えてゴマかすという理由もあったけど、
やっぱカズキのアルバムを見てみたいって言う気持ちがアタシにはあった。カズキ
は少し困惑してるみたいだったけど、すぐに元に戻り、完全に観念したみたい。ち
ょっと笑ったような表情を作ってくれた。でもアタシは容赦しない。

「ほらほらほら〜!!」

とカズキの背中をぐいぐいと押しながら言った。階段を登り、左に曲がって突き当
たり、アタシの部屋のドアがあるところを行ったところにある右の自動式のふすまが
カズキの部屋のドア。ちなみに突き当たりにある普通のノブ式のドアがアタシの部屋
のドア。カズキの部屋とアタシの部屋ってかなり近いのよね。ちなみにアヤの部屋は
こことはまったくの逆方向なの。階段を登って右に曲がってまっすぐ行ったところ。
よく考えるとアタシ達の家ってかなり広いわね。でも開南市って結構高級な家が多い
って話だし、実際場所も東京までリニア新幹線で20分のところにあるし、環境はか
なり良いわね。今さら気付いてるアタシって・・・・もしかして鈍感?

との事でやっとカズキの部屋に到着。アタシはカズキの後ろを押してたせいか、少し
だけ息切れ。あーなんかもう疲れちゃった。さっき外に出たせいもあるかも知れない
けどね。

シュー・・・・・

ふすまを開け、アタシ達はカズキの部屋の中に入った。

「で?どこにあんの?アンタのアルバムは?」
「えーっとね。この押し入れの下の・・・」
「押し入れ?」

ガラッ!

アタシは最後まで話を聞かずにカズキの押し入れを開けた。あれ?なかなかきれい
にまとまってるじゃない。噂によると男の押し入れのなかってぜんぜん整頓されて
ない上に怪しいものがたくさんあるって聞いてたけど・・・ぜんぜんそんなイメー
ジじゃないわ。上には布団や枕が、そして下には段ボール箱がぴったりと押し入れ
の空間をはめている。

「へぇー。きれいね。カズキの押し入れの中って」

とアタシは素直にカズキの押し入れの中を誉めた。

「そ、そうかな?」
「うん。アタシのイメージだとゴチャゴチャになってるのを想像したんだけど、そ
うでもないわね」
「それって漫画やアニメのイメージじゃん。ほら、よくキャラがふすま開けると中
の物が雪崩のように出てくるやつみたいなの」
「アハハ!そうそう!・・・で、どこにあるの?」
「あ、この下のイッチバン右奥にある古ぼけた段ボール」
「え?そんなの見えないわよ」
「だって一番奥だもん。前の段ボールどかさないと見えないよ」
「えーっ!本気ー!?」
「うん。本気」

アタシはきれいに押し入れの中に入ってる段ボール箱をボーゼンと見てから、

「・・・・取り出すわよ!アタシは手伝うからアンタが押し入れから取り出してよ」
「はぁ・・・風呂、入りがいがありそうだな・・・」
「つべこべ言わないの!アタシも手伝うんだから!」

でも・・・・なんか久しぶりだな・・・段ボール箱漁るの。何が入ってるかは大体
わかるけど、アルバムにどんな映像が映ってるかなんてまったく予想できない。ど
んな映像が映ってるんだろう・・・?それを考えると少しだけ楽しみになってきた。
楽しみになると不思議とやる気が出てくるものだ。レイカの手伝いもあってすぐに
僕らは右奥にある黄色い段ボール箱を取り出した。とは言ってもすでに11時の針
は回ってたけど。

「やった!やっとハッケーン!」
「これなの?カズキ。もうかなり古くない?何か中の物カビはえてそう・・・」
「だってこれ、僕が高校上がる前のやつだよ」
「つまりいつのよ?」
「うーん・・・8才くらい・・・かな?」
「・・・・・で、アンタの頭に残ってる一番昔の記憶は?」
「え?なんで?前にも話したような・・・うーん、6歳の時に中一の数学の授業受
けてた事だけど・・・?」
「もしかするとそれ以前の事がアルバムに載ってるかもしれないのよ!」
「あっ!」
「アンタ、自分の記憶、取り戻せるかもしれないのよ!」

そうだった・・・僕は6才以前の、幼稚園に通ってる時の記憶がなかったんだ・・・・
別にそれでもいいとは思ってたんだけど・・・でもアルバムにそれが記録されてた
としたら・・・・僕は本当に記憶が取り戻せるかもしれない!それを考えたら僕は
すごい期待をアルバムに向け、すぐさま箱を開け、中に入ってるアルバムディスク
ケースを取り出した!

「えー!やった!カズキ見てよケースに書いてある文字!!」
「え?あー!やったー!」

アタシはカズキに抱きつきお互い喜びあった。だってケースに

『狭間カズキ:出産(0歳)〜7歳』

って書いてあったから! 



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