− NO BELiEVE −





第11話  クラス替え



「おーい、カズキゲーセンよってこうぜ」

マサトが僕に誘って来た。でも、なぜか今日はすごく眠かった。
もういますぐに帰りたかった。疲れたのかな?

「わりぃ。今日もう疲れすぎてる気がするんだ。早く帰って寝たいんだ」
「そっか。それじゃな」
「ああ、じゃあな」

マサトと俺とは学校から見て家が正反対の方向だ。だから下駄箱のところで別れて、
少し歩いてるといきなり後ろからドン!と強い衝撃を感じた!

「えい!!」

「っ、いったー!だれー?」
「ね、ここ弱点なのよ!面白いでしょう」
「レ、レイカ??」

僕はこの声と口調ですぐにレイカだとわかった。となりにはサキもいる。

「あっカズキ君!」
「な、なに?村本さん」
「ZEEBRAの新しいCD持ってる?」
「あの‘THE RHYME ANIMAL’とかいうやつ?」
「そうそう」

サキも音楽の趣味が僕に似てる。レイカは少し違うけど似てると言われれば似て
る方だ。

「一応CD−Rで持ってるけど・・・」
「じゃあ明日かして!ねえ貸してよ」
「・・・・・」

ちらッと僕はレイカの方を見る。僕はサキの「女」という権力を乱用している性
格がすごく嫌いだった。結構ムカツく女だ。こういう性格は僕は苦手なのだ。こ
んなやつにCDを貸したくない。だから僕はレイカに助けを求めようとした。す
るとレイカは、

「いいじゃん、貸してあげれば」

こうなるともう貸さざるをえない状況になってしまう。
レイカはスマイル入りながらもちょっとゴメンって言うような顔で僕を見ている。
レイカは僕がサキの事好きじゃないのを知ってるからだ。

「ま、いいけどね・・・」

と、僕はしぶしぶOKする。でもサキはそれが当然って言う目で僕を見てくる。
そして、それが当然って言うような口調で返事を返す。

「ん、ありがとね。明日持って来てね」
「わかった。じゃあね」
「バイバイ」

こうして僕は校門を出た。
レイカはまだサキと何か話しをしている。
何を話してるのかも気になったが、もう僕はなんか帰りたかった。

「それじゃアタシもそろそろ・・・」
「ん、わかった。じゃねー!」
「それじゃね。・・・待ってよカズキ!!」

レイカの大きい声が耳に伝わった。
ふと後ろを振り向くとレイカが走って僕の方に走ってくるのが見えた。

「どしたの?」
「んもう!一人で帰るほどいやなものはないわよ!」
「そ、そう?ごめん」
「じゃ、帰ろう」

なぜかレイカは少し機嫌が良いみたいだ。

「機嫌いいねレイカ。どうかしたの?」
「フフーン!」
「???」
「うちのクラスから静谷がいなくなるって言うのを聞いただけで嬉しいのよね」

やっぱみんな静谷なんて嫌ってるんだ。”当然だね”そう考えてしまった。

「クラスが変わるって事は?」
「アタシが?バカね!そんなことあるわけないじゃないの!!」
「今学期の成績は?」
「42!どう?アタシに勝てるとでも思って?」

僕はあえて自分の成績を言わず、レイカを誉めた。

「すごいなレイカ。やっぱ塾通ってるだけあるな」
「なによそれ。どーいうこと!まるでアタシが、塾にいってるから成績良い風に言
ってるみたいじゃない」
「ご、ごめん。そ、そうだよね。レイカ、テスト前は夜遅くまでいつも勉強してる
よね」
「そーよ!失礼ね、もう・・・・っで、アンタ成績どうだったのよ?」
「いやいや、それはお答えする事出来ませんなぁ。レイカさん」
「どーしてよ!は、ま、まさか、アンタクラス落ちるわけないでしょうね!」

”そんなことになったら、サイアクの事態ね”

「まさか!僕がクラス落ちるわけないじゃない」

”驚かせるんじゃないわよ!バカカズキ!”

「ふ、ふーん。・・・ほんとーに??」
「本当やっつーの」
「じゃ、成績いくつなの?」

ぐ、レイカも結構しつこいなぁ。なぜそれほどまでに僕の成績を知りたいのかはわ
からないけど僕はもうメンドくさくなったので言ってしまった。

「よ、44だよ」
「ななな、ぬぁんですってー!!」
「だ、だから44・・・」
「・・・むかつくわね!次回覚えてらっしゃいよ!」
「はぁ?」
「”はぁ?”じゃないわよ!絶対次回アンタを超えるんだから!」
「・・・ま、がんばってね」
「何よ!その自身万々な態度ぉ!覚えてらっしゃいよ!きっとアンタなんてこてん
ぱんに次回アタシにやられるんだから!」

僕はレイカのこの状態を忘れさせるためにちょっとだけ違う話題を出した。

「ってゆうか、今回のうちの新しい先生って誰なんだろうね」
「うーん、河井先生って言ってたわね。新任らしいわね。ま、うちのクラスはいじ
めもないし、結構先生達にとって見れば初心者向けのクラスって感じじゃない?」
「マサトが結構大変だとおもうけどなぁ。うちのクラスの難関を見つけるとすれば」
「羽柄野?あんなの先生達にとって見ればそんな難しい問題じゃないわよ」
「そうかな?」
「絶対そうよ。それよりサオリよサオリ!あいつの方が羽柄野よりずっと不良じゃ
ない!ほら、今日もなんか学校来なかったし」
「あの人、今回成績下がったらしいよ。クラス多分下がるんじゃないかなぁ」
「・・・アンタ、どっからその情報手に入れたのよ?」
「ある女ダチからだよ」
「まったくアンタも女たらしよねぇ」
「そ、そんな言い方ないじゃないか!」
「アンタ、何人女友達いると思ってるのよ!」
「・・・・わからないや」
「大体よ、だ・い・た・い!」
「2、30人ぐらいいるかな・・・」
「アンタバカ?そんなの完全に自分はたらしですって言ってるようなもんじゃない!」
「そ、そうかな?」
「はぁ・・・アンタそんなこともわからないの?女友達なんて一人もいないって男
もいるのよ!それなのにサンジュ〜ニ〜ン?まったく信じらんない!」
「じゃあレイカは何人ぐらい男友達いるんだよ」
「うーん。ほとんどいないわよ。アンタや羽柄野や松阪、あとは、”あー知ってる”
程度って感じね」
「そ、そうなの?でも、俺それじゃ知ってる程度が、それ大半だよ」
「でもアタシはっきり言っちゃって羽柄野あんま好きじゃないのよ。なんかウザイ
わよ」
「そ、そんなことないよ。あいつ、根は良いやつだよ」
「でもなんかアタシ、あいつとはあんま合わない気がするのよねー。って言うか信
用できないのよ。あっ!絶対に羽柄野に言っちゃ駄目だよ!」
「言わない言わない!俺は絶対ダイジョーブだよ」

カズキはアタシに優しい笑顔を送ってくれた。
その笑顔を見てるとアタシは信用しちゃう!
なんかやさしさに、強さが少しプラスされたような笑顔だったから。

アタシにとって、アンタが一番信用できる存在なんだから・・・・



そうこうしているうちにアタシ達は家についた。
一応まあまあ普通よりは上って感じの白い洋風の家ね。
玄関のドアの横に車を入れるところがあってそこに1台の赤いエアバイ、あと青い
ママチャリ系の自転車が1台ある。そこには車1台楽々に入れるスペースがあるん
だけど、そこはママが帰ってきた時のスペース。いつもママは車で仕事場に行って
るから。いつ帰ってくるかわからないからいつもそこは開けているの。

アタシ達はそこを通り抜けて、家に入る。
エアバイが置いてあるって事はアヤはもう帰って来てるって事。
だからアタシはなるべく明るく、

「ただいま!」

と言って玄関に入った。

「あ、おかえりなさい」
「ただいま」
「ちょっと、何食べてんのよアヤ!」
「ケーキもらったのよ。食べる?あなたたちも」
「へぇ、誰からもらったんですか?」

素朴な疑問だ。僕は思った。
でも聞いてしまうのだ。なぜか気になる。

「私のト・モ・ダ・チ♪」
「どーせ男からでしょ」
「あーら。そんなこと言ったらあげないわよォ」
「いいわよ。もうもらってるから」
「ア、アンタいつの間に?」
「今よ。アヤももう年なのかしらね?そんなのも気付かないなんて」
「フン!よけいなお世話よ。そんなこと言ってるとォ」
「な、なにすんのよ?」

この辺まで入って来たら止めなくては。
それがいつもの僕の仕事の一つであった。

「まあまあ二人とも。そんなことより、今日の夜飯どうするの?」
「あ、買いにいかないと!」

アヤちゃんはふと思い出したように言う。
二人のくだらない争いに終止符を打つ事が出来た。
これでやっとゆっくりケーキを食べれると思い、
一口目を口に運ぼうとしたそのとき、


ピンポーン。


「あ、はーい!」

と言ってアヤちゃんはドアモニターを見た。
僕もレイカも少し気になりアヤちゃんのいる方を見る。

「う、うそ・・・」

少しアヤちゃんはびっくりした様子で慌てて玄関の方に走っていった。

「ど、どうしたんだろう?」
「ちょっとアンタ。見てきなさいよ」
「なんで僕が見にいかないといけないんだよ」
「アタシはケーキを食べるので忙しいの!」
「もう・・・」

そういって僕はドアモニターの方を見た。


「ヤ、ヤスコさんだ・・・・」




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