− NO BELiEVE −





第12話  枕下の小型操作機
          Don't make my mind stay polluted....



「た、だーいまー!」

「マ、ママ・・・・」
「ヤスコおばさん・・・・」
「ひさしぶりねー!みんな」

本当に久しぶりだ。家族が全員そろった事など約3ヶ月振りだ。
僕もレイカも、少し自分の目を疑うように康子さんの方をじっと見ていた。

「あら、驚かせたかな?3ヶ月半振りだからね・・・」
「・・・おかえり、ママ」
「ただいま、レイカ」

どことなくまだ少し現実を理解してないようにレイカが言った。するとヤスコさん
も母親らしい優しい微笑みを返した。

「久しぶり」
「そうね。家族とは久しぶりね」
「久しぶりの再会ってやつか」
「そうね」

なんかやはりまだ両方ともぎこちない話し方だ。
特にレイカは少し緊張してるようだ。

「きょ、今日は何、久しぶりの休暇なの?」
「違うわ。出張がこの辺であったからよったの。あと2時間したら本部に戻らない
といけないわ」
「ふーん。そうなの・・・・・」
「ごめんなさいねレイカ。一緒にいてあげたいけど・・・」
「べ、別にかまわないわよ。仕事だものね・・・」

僕は本当にどんな仕事にヤスコさんが就いているのかを知りたかった。だから僕は
思い切って聞いて見た。

「ヤスコさんって・・・どんな仕事してるんですか?」
「政府関係の仕事よ。前にも話した気がするわ」
「それは聞きましたけど、どういった仕事なんですか?」

少しだけヤスコさんのにこやかな表情が消えた気がしたが、すぐに元のヤスコさん
の表情に戻り、

「国と国の国交を強める仕事って言ったらいいかしらね。アースハイセンター計画
にも関係してるものね」
「そうなんですか」
「ふーん。そうなんだ」

アースハイセンター計画、聞いた事あるわね。巨大な浮島を作ってその島を世界の
拠点にするとか言う計画だった気がするわ。カズキはその事きちんと知ってるのか
な?ママに聞けばどういう計画かはわかるけど・・・なんか聞きづらいのよね・・・
カズキの方がずっと聞きやすいの・・・・なんで?やっぱ・・・カズキの事が・・・・・?
        
「レイカも知らなかったの?」
「え?なにをよ?」
「ヤスコさんの仕事だよ」
「あ、うん。アタシも聞いた事無かったもの。そういう事」
「ごめんなさいね二人とも。今まで教えてなくて」

その言葉を言った直後にアヤちゃんが戻ってきた。

「母さんご飯は食べる?」
「そうね。でもあと二時間しかいられないの。簡単な物で良いわ」
「わかった。じゃ、適当に作るわよ」
「ありがとう。アヤ、料理うまいものね。カズキ君も」
「そうですか?それはどうも!」

そういって僕はヤスコさんに微笑みかけた。すると向かい席で座ってたレイカが下
にうつむきながらそっと吐露した。

「アタシ、なんで料理下手なのかな・・・」

その言葉は声量こそは小さかったが、この少し明るいみたいな空気を一瞬にして暗
くさせるほどの大きな威力を持った言葉だと僕は思った。

少々の沈黙。そして僕が慰めるように言葉を発した。

「そ、そんなことないよ。ほ、ほら、レイカギョウザ作るのウマイじゃない」
「それだけよ。アタシが出来るのは」
「レイカ。失敗を恐れちゃ駄目よ。何回もやれば必ずうまくなるんだから。ほら、
ギョウザだってユキさんから教わって何回も作ってみたから上手になれたんでし
ょう」
「そうなのかな・・・」
「そうよ。アヤだってカズキ君だっていつもやってるからうまくなったのよ。レ
イカも練習すればうまくなるわ。ほら、ここに料理のうまい人、いるんだし教わ
ればいいじゃない!」

そう言ってヤスコさんは僕の方を向いた。なに?料理のうまい人って僕の事?

「そうね!カズキ、アタシに料理教えなさいよ!そうすればアタシもうまくなれ
るんだから!」
「僕なんかで良かったらいつでもいいよ。教えてあげれる事あんま無いけど」

僕は本当にそう思った。僕なんかでレイカの料理がうまくなれるのなら、僕はな
るべくレイカを助けてあげたいという思いがあったから。なんでそう思ったかは
わからないけど・・・・ただ楽したいからなのかもしれないけど・・・とにかく
そう思ったからなの!

「じゃ、明日っから教えてね!カズキ♪!」
「え、明日からァ?ちょっと極端入ってない?」
「こういう事は早くやってみたいの!いっとくけどアタシ、女の子なんだからね
!やっぱ料理なんかもうまくなりたいって願望はあるのよね、やっぱ。だから明
日、やりましょ!」

レイカの料理特訓を明日から・・・始めるのか。
なんか嫌な予感がする・・・・・



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