− NO BELiEVE −





第10話  権利の戦い



みんなにとって、アタシは何なの?

”ファーストは僕にとって一番心を開ける存在だよ”
「セ、セカンド?」
”みんなにとって、ファーストはどういう存在なのかはわからないけど、僕にと
ってファーストは少なくとも一番心を開ける存在だとおもう”
「・・・あーあ!やっぱなーんか心の中にいた方がいいかもなあ」
”な、なんでいきなりそんな話しになるんだよ?”
「交代しよ。疲れちゃった・・・」
”そ、そう。いいよ”

こうしてファーストはコントロールから離れ、僕はカズキの身体本体に戻った。

”それにしてもアンタ、いつも大変ねぇ。こんなこといつもやってるの”
「そんなことないよ」
”ま、がーんばってねー”

僕達の会話は終了した。
カズキ自身の身体のコントロール権の戦い、そう思ってるのは僕だけかもしれな
いけどとりあえず終了した。なんかどっと疲れた。

まだ教室、道徳をやっている。
もうみんな半睡眠状態になっている。
静谷の話しがつまんな過ぎてるからだ。

ガラッ!

「羽柄野君を屋上で発見しましたので、連れて来ました」
「は、はあ・・・」

静谷は少し申し訳なさそうにして礼をした。

「それではこれで」

ガラガラ・・ピシャ。

「羽柄野!!!何やってたんだお前!!!」
「腹こわしてたから屋上で寝てた」
「なんでそういう事先生に言わないんだ!!!」
「保健室のあの家畜と同じ部屋で寝たくなかったから」
「な!!・・・・・・」

あたりは爆笑の渦だ。
みんな睡眠寸前状態だったところの突然のハプニングだ。
家畜・・・・・あの保健室のババアにはぴったりの表現だけどね。

「・・・・もういい・・・座れ・・・」

ガタタ。

「ほらみんな静かにしろ!!!まだ授業中だぞ!!!」

キーンコーンカーンコーン・・・・

「・・・くっ・・・」
「気を付け。礼」

休み時間だ。
僕は男子ほとんどみんなが固まってるところに行く。
今回はマサトの机の周りだ。

「おまえなにやってたんだよ?」

マサトに聞いた。
僕の方を向いてこう答えた。

「腹痛かったんだよマジでー」
「・・・それにしてもよー、家畜とか言って超ウケるし・・・」

マサヒロが言う。
所々でみんな笑ってる。僕もつられて笑ってしまう。

「ああ。あいつは家畜、いや、水牛だぜ」

大爆笑だ。
みんな同感してながら。
たしかにあいつは水牛って言っても過言じゃないから。
僕が初めて見た時の感想、「体重300キロ超えてんな」だったからね。

「あ、そうだ。お前クラス替えの事、しってんのか?」

マサヒロはそうきいた。
ま、結構マサヒロも僕やマサトとは仲が良い友達だ。
特に僕と音楽の趣味が合うのが最大の理由だろう。
・・・・ちなみに僕の音楽のタイプはヒップホップ、ダンス系だよ。

「あ?しらねえ。なんだそれ?」

そうだ、マサトはあの時いなかったんだ。知ってるはずない。

「成績のクラス替えだよ」
「あー。6月にもやったやつか」
「お前今回成績下がってねえだろうな」
「当然だろ!今回計算すると五教科合計23だ」

「えっ!マジかよ!」

マサヒロは驚きを隠せなさそうだった。マサヒロ以外の人もみんなその様なリアク
ションをとっていた。確かにマサトは遅刻も何回か数えきれないほどするし、授業
中よくしゃべる。それでも23とってるんだ。マサトも多分天才の域に入っている
のだろう。それに一応有名な塾にも行っているんだし。

「ちなみにカズキは?」
「・・・24」
「嘘!お前なんで25満点じゃないの?」
「国語・・・。まだよくわからなかった」
「じゃあ九教科は?」
「44」
「・・・なにこいつ〜。ずりーよなぁ」

しかたないじゃないか。わざと成績なんて落とせないよ。一応僕は大学出てるん
だからね!ま、頭良くてよかった。これで静谷から離れられる!!

「ねえ!そういえば次回の3−A。静谷じゃないんだよ!!」
「えっ!マジ!やったな、カズキ!!」

他の奴等から僕達はなぜか白い目で見られてしまってる。多分もう僕達は絶対に
クラス変更しないって言うのが決定してしまってるからだ。白い目で僕達を「ず
るい」という感じで見てる奴等は多分危ういのだろう。ま、嫉妬だね、嫉妬。

僕は僕達を白い目で見てた奴等の一人になってたマサヒロに聞いて見た。

「マサヒロ。お前どうだったん?」
「五、五教科19・・・」
「やべーじゃんおめえ」

マサトがちょっと心配そうにマサヒロの事を見てる。同じクラスじゃなかったら
やっぱ嫌だからだろう。僕はつられて少し心配そうにマサヒロを見る。

「九教科は?」
「3、37・・・・」
「・・・・ま、まだ完全決定してるわけじゃねえし、ダイジョーブだよきっと。
きっとな」

マサトは慰めるように言った。でもマサヒロの顔は少し暗くなっている。やはり
マサヒロも2年の時からずっとこのクラスにいたクラスメートなんだ。離れるの
は嫌なんだろう。まだ中学生活も3年半残ってる(中・高一貫教育義務付け)し、
あまり自分に合わないレベルのクラスにいてもいい結果にはならないのもわかる
が、マサヒロはクラスでも少し目立ってる存在だし、やっぱ僕としてもいなくな
って欲しくないな・・・・

「おいマサヒロ!まだ都の学力試験が残ってんじゃねえか。それ頑張りゃいいじゃ
んか。っていうかお前なら大丈夫だって」

マサトはまだマサヒロを元気付けようとしてる。

「いやいや。俺はそこまで頭良くねえし、明後日じゃねえか試験。もう諦めつきか
けてんから」
「諦めんなって!!おい、タクト!!!」

タクトは一人で席に座ってかえる準備をしている。
あいつの机の中に入ってるノートパソコンに何かを受信してるのがわかる。
パソコンが一定の速度で無気味に光ってるのが見えるからだ。
何を受信してるのかが非常に気になる所だ。

「何だいマサト君」
「ちょっと来い」

ドスドスドス・・・

「ん何だい」
「都の診断、試験日前に手に入れる事出来ねーか?」
「・・・無理な事言うなよ。カンニングでもすればいいじゃないかそんなに良い
点とりたいなら」
「どうやってカンニングなんてするんだよ!」
「消しゴムの裏側にカンペ貼りゃいいじゃないか。絶対見つからないよ。イヒヒ
ヒヒ」

無気味な笑い方だ。その上なんかやった事ある口調だ。でもその話しを聞いた途
端マサヒロは目を輝いている事に気付いた。

「やるんか?マサヒロ」

マサトが聞く。よく見ると他の連中も何人か目を輝かしてる事に気付いた。

「さ、さぁな。た、多分自分の力でやるよ。そ、そんなこと、やんねえよ。うん」

どもってるぞ・・・多分こやつは実行するな。どうしてもそう思ってしまう。
このクラスにいるためには、しかたないといえばしかたないが・・・

キーンコーンカーンコーン

「オラァ!!学活始まってんだぞ!座れ!!」

・・・・・・・・・・・・・・・・・

帰りの学活もいつもと同じ様に始まり、いつもと同じ様に終わりを告げようと
していた。



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