− NO BELiEVE −





第4話  ゴールドキョロちゃん



「おーいカズキー!このプリクラどうやって隠しフレームだすんだっけ?」

マサトがいつの間にかゲームコーナーにいってしまってる。ぼくはいそいでゲ
ームコーナーに行った。それにしても何であいつが急にプリクラの事聞くのか
はわからなかった。

ゲームコーナーに着いた時、プリクラの前にマサトと、その横にうちの学校の
アイドル的存在、布絵(ふかい)ヒロエがいた。

「あ。狭間君だ。こんにちわ」
「あれ、ヒロちゃんじゃない。どしたのこんなとこで」
「ばかかぁ。昼飯食いにきたに決まってんじゃん」
「そっか」
「フフ、おもしろいね。狭間君って」
「そ、そうかな?」
「うん。それに、狭間君ってもてるのよ。知ってるでしょ。羽柄野君も」
「うっそだぁ」
「実は本当なんだよ、なんでこんなのがもてるんだか」
「だって優しいもの、狭間君って」
「ま、そんなことよりもこのプリクラの隠しフレームの出しかた教えてくれよ」
「あ、そうだね。えーとこのプリクラは・・・キョロちゃんバージョンか。
僕が知ってる隠しフレームはゴールドキョロちゃんだけだけどいい?」
「なんで狭間君ってそんなことまで知ってるのぉ?」
「レイカに教えてもらったんだよ。この前買い物にいった時にね」
「えー!それって・・・」
「違う違う。スーパーに御飯買いに行った時だよ」
「なーんだぁ。つまんないの」
「あのねぇ・・・」

ちょっとなんか誤解されてそうな気もするな。でも、いっしょに住んでるって事で
相当前にうわさされてた時もあったからしかたないといえばしかたないけどもね。
でもヒロちゃんは相当可愛いと思う。一応この北東京都開南第2中学校の中でヒロ
ちゃんは一番可愛いとされてる。でも1学年18クラスもあるから個人の好き嫌い
はあるんだとおもう。だから実際の所はわからない。実はいうとレイカも学校では
ベストスリーに入ってるとかいうのを聞いたけど、僕はどうしてもそうは思えない。
一緒に住んでるからっていうのもあるだろうけど。

「で、どうやるんだ?」
「あ、ゴールドキョロちゃんね。右右左右右だよ」
「じゃ、撮ろうぜ。ヒロちゃん」
「狭間君も一緒に撮りましょうよ」
「僕も入っていいの?」
「はいれよ、カズキ!金は俺が出すから」
「サンキュー!羽柄野君」
「ありがとね、マサト」
「まかせとけって」

こうして僕らはプリクラを2回もとった。マサトにとってはヒロちゃんと
プリクラ撮るの、本当に嬉しいんだろうな。あいつにとっちゃ自慢も出来るしね。

そう、実はマサトは、ヒロちゃんの事が好きなのだ。

「カズキ、はさみかして」
「ほれ、プリクラ用、みたいな」

僕はポケットからはさみを取り出した。

「狭間君、なんではさみなんて持ってるの?」
「プリクラ撮った時便利だから」
「へぇ、用意いいね。狭間君って」
「そ、そうかな?」
「ポッケの中他にもなんか入ってるんでしょ。見せてよ」
「あとで、テーブルの上で見せてあげるよ。あ、そうだ、ねぇマサト、昼飯食っ
ちゃおうぜ。腹減ったよまじで。そうだ、ヒロちゃんは誰かと一緒に来たの?」
「私は友達と一緒に来たけど、友達はもう先食べてかえっちゃったの。私達がゲー
センに行こうとした時、羽柄野君に会って、そしたら羽柄野君がプリクラ撮ろうっ
て誘ってくれたから、じゃあいっしょに撮ろうって言ったら友達が急に先に教室に
戻ってるって言いだして帰っちゃったのよ」
「じゃあ1人なの?」
「うん。そうよ」
「その友達って、マサトの事苦手なのかな?」
「そうかもしれないわ。でも、羽柄野君とってもいい人よ。狭間君もね」
「そ、そうかな。僕達なんかよりいい奴なんて、いっぱいいるとおもうけどなぁ」
「でも、私にとって1番この学校で良い男友達だと思うけどね。ほら、ほかの男の
人って、なんか私と話す時、すごく不自然なんだもん」
「そりゃあ、ヒロちゃんがすごく可愛いからだよ」
「うそ。私そんなことないわよ」
「いや、可愛いよ。すごく」

少しヒロちゃんの顔が赤くなった気がする。

「そ、そお?」
「それに、家だって金持ちなんでしょ?」
「まさか、うちはそんなに金持ちじゃないわよ」
「うっそぉ。この前自販に万札入れて僕に動かないって聞いて来たじゃない」
「ふつうみんな経験ない?」
「ないよ、そんな金無いから」
「やっぱ私って金持ちなのかな?」
「そんなの気にする事なんてないよ。だけど普通の人は特別な存在っていう目で
見ちゃうかもしれないね。少し。」
「えー、そう?やだなぁ。もしかして狭間君も私の事特別な存在っていう感じで
見てる?」
「まさか、僕はヒロちゃんをそういう風に見てないよ。もしそんな風に見てたら
まともにヒロちゃんと話なんて出来ないよ。僕、絶対に人間をそういう風に見な
いようにしようとしてるんだ。噂や偏見だけでその人のイメージを決めつけるの
ってすごいかわいそうだもん。」
「フフ。やっぱ、狭間君って優しいね」
「そ、そうかな?」
「なーに君らイチャついてんだぁ?」

マサトが僕の肩とヒロちゃんの肩によっかかりながら言った。

「あれ、マサト!どこ行ってたんだよ」
「トイレじゃ。食べ放題だからな。」
「・・・・・」
「・・・・は、早く飯食べちゃおうよ。ヒロちゃんもいっしょに食べよう。
まだ全部食べてないんでしょ?」
「う、うん!」

そして僕らは席に座った。このピザキャップははっきし言ってただのファースト
フードの店っていう感じの店だ。もちろんウェイトレスなんかいない。全部自分
でやれっていう感じの店だ。食べ放題を頼んだ時も出てくるのは皿とコップだけ
で自分で勝手に取れっていう感じだ。席も勝手に自分で良いとおもった場所に勝
手に座ってろみたいな雰囲気だ。でも、僕はそんな自由な感じのこの店が結構好
きだ。この店のピザは僕はとてもおいしいと思う。食べ放題の店は大抵まずいっ
ていうけど、ここはおいしいと思う。値段も¥500ぐらいだし。少なくともシ
ェーキーズチェーンよりはおいしいだろう。

僕達は席においてある皿を持って、ピザ食べ放題用のカウンターにピザを取りに
行った。適当に2、3枚とって席に戻った。そのとき、ヒロちゃんが既に僕の席
の向かい側、つまりマサトの席のとなりに座ってた。

「ねぇ、狭間君のポッケの中、何が入ってるのか見せてよ」
「あ、そうだね」

僕はポケットに手を入れて、ポケットの中を全てだした。さいふ、はさみ、生徒
手帳、カード入れ、スタンガン、あとPHSだ。

「ふーん、なんかいっぱい入ってるね」
「そうかな。普通だと思うよ」
「スタンガンなんて、どこで使うの?」

なんか、いやな質問をされてしまった。もちろん自己防衛のためだけど、最近
スタンガンを使った犯罪が増えてるから・・・なんか勘違いされそうだ。

「も、もちろん、身を守るためだよ。ヒロちゃんも持った方がいいよ。今の世
の中物騒だから。」
「必要かなぁ。スタンガンなんて」
「持ってた方がいいと思うよ」
「大丈夫よ。私なんて襲う人、いないわよ」
「いや、持ってた方がいいよぉ」
「例えばだれが私をおそうのよ?」
「変質者とか?」
「私なんかよりもいい人いっぱいいるわよ。大丈夫」
「そんなことないって。もう少し自分に自信もちなって。ヒロちゃんほど可愛
い人、普通いないって」
「いるわよ。アタシなんかより可愛い人なんかいっぱい。レイカちゃんとか」
「・・・そんなことないよ。絶対に」
「うーん、だめだわ・・・。私、自分が嫌いだから・・・。だから自信なんて
とてもじゃないけどもてないわ」
「そ、そうなの?」

僕は少し驚いた。ヒロちゃんが、自分自信を嫌ってるなんて。本当に自分に自
信が無いんだな・・・。僕はつくづくそう思ってしまった。

「ご、ごめんね。話し暗くしちゃって。狭間君ってなんか、すごい話しやすい人
だから、何でも話しちゃうみたい」
「い、いや、そんなことないよ。嬉しいぐらいだって」
「嬉しい・・?」
「うん。僕を信用してくれてるっていう証拠じゃないのかな?僕は嬉しいんだ。
僕が人に信用されるっていうのがすごい、なんか」
「フフフ、狭間君も、本当は自分に自信なんて持ってないでしょう」

何でヒロちゃんはそう思ったんだろう。結構当たってる気がする。鋭いな・・・
結構ヒロちゃんも。

「狭間君も自分が嫌いなんじゃないのぉ?」
「す、するどいね・・・。ヒロちゃんって。もしかして、人の心読むのって
得意?」
「いや、苦手だわ。私はぜんぜん読めないわよ。人の心なんて」
「ふーん・・・」
「でも狭間君の場合はすぐにわかったわ」
「えっ!なんで?」
「わかるわよぉ、それぐらい。だって自分は信用されてないと思い込んでる
んだもん」
「そうかもしれない・・・・。あっ、あと10分で授業始まっちゃうよ!」
「えーっ!うっそぉ。やばいじゃない!」
「あ、そういえば。マサトはどこ?」
「さぁ・・・。トイレじゃない?」
「ちょっと探してくるね!ここにいてくれる?」
「早くね!」
「うん!」



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