− NO BELiEVE −





第3話  ペンギン Has Komm...



”過去を捨てたはずなら、なんで?”
”・・・わからないよ!!そんなこと!!”
”あんたは、過去を捨ててないからよ”
”僕はもう過去は捨てた!捨てたんだ!!”
”それは嘘よ。”
”嘘なんかじゃない!”
”嘘。それは嘘なのよ。セカンド”
”ちがう!”
”あんたねぇ、自分自身に嘘をついてるだけなのよセカンド!!人間過去なん
て捨てられるとおもうの?アタシは捨てられないわ・・・。これはもう一生捨
てられないのよ。記憶喪失にならない限りね・・・。”
”そ、そんなこと・・・”
”あんたねぇ、ただ逃げてるだけなのよ!厳しかった過去から!!甘い夢の現
実に逃げようとしてるだけなのよ。現実はそんな甘ったるいもんじゃないわ。
そこんとこ、良く考えときなさいよ!このバカ!!”
"ちょ、ちょっと・・・”

現実に戻った。僕はまだ、手を壁にぶつけていた。壁が少し僕の血で染まって
て赤くなっていた。

「カズキ、わるかったな」

マサトがカズキの肩を叩きながら言った。

「えっ!な、なにが?」

僕は少し驚いた。マサトは謝らなきゃいけないことしてないのに・・・。僕が
自分の世界に少し入ったからか、苦痛な表情を見せたからか。どっちにしろマ
サトが謝る事じゃない。

「めし・・・食いに行こうぜ」
「う、うん、そうだね!」

マサトは僕を気遣ってか、もう僕の過去についての話題はやめ、別の話にきり
かえたみたいだ。

”俺、ただ逃げただけだな。なさけねえ・・・”

俺はそう思いながらもカズキに話しかけた。

「どこに食いにいくか?」
「食堂?」

僕はなんか食堂で食べる気なんかしなかった。だけどとりあえず聞いた。

「ばかかぁ?外だよ外!外でぱぁーーっと行こうぜ!!」
「そ、そうだね。」

僕達は教室を後にして、取りあえず外に出た。

「どこに食いにいくか?」
「そうだね、ピザでも食べにいく?」
「お、いいな。そうすっか!」
「どこにする?」
「やっぱアーケードゲームがいっぱいある、ピザキャップだろ」
「おとといも帰り、そこいかなかったか?」
「細かいこと気にすんなって」
「じゃ、はやくいこーよ、マサト!お腹すいたよ、マジで」

僕はさっきのこともあってか、なるべくマサトに意見をあわせようとしている
自分に気付いた。と同時に、なるべく明るく振るわおうとしている僕に気付い
た。一種の逃げの手段だな。いつか僕は過去、つまりサードと戦わなくちゃい
けないんだ。そのことを考え出すと暗くなる。暗くならない様にするために、
逃げる。人のために逃げる。そんな自分に嫌気がさしてきた。

いつの間にかもうすでについていた。目の前に大きなペンギンがビールを持っ
てる看板がある。ドアを開けて、レジスターの前にあるメニューを見る。

「何頼むか?」
「ばかかぁ?食べ放題にきまってるだろ。」
「12時までだろ?ちがうの?」
「1時までに変更になったんだよ。知らんの?」
「知らなかった・・・」
「ほんと、おまえってウトイよな、そういうの」
「そうかな?」
「うんうん」

少なくとも僕の本心ではそうは思っていない。僕はたまたまピザキャップで
ピザを頼む事がここ1、2週間無かったから知らなかっただけ。もしも僕が
そういうのにうとい人間だったら、タクトなんかはもう死んでるじゃないか。
タクトのバカはそういう事は全く気にしない人間だから。

タクトは危ない人間だ。あいつは変態でもあるがすごいハッカーでもある。
ハッキングに関してはこの学校であいつの上に出る奴はいないだろう。
あいつは夜中学校のメインコンピュータにアクセスして、ウイルスを動かした
犯人だ。その次の日、学校が大騒ぎになり、5日間臨時休業となってしまった
のだ。あいつはきちんと、証拠になるものは全て消去してあるということがす
ごい。あいつははっきしいうと天才かもしれない。でも、あいつは生きる事に
かんしては下手なやつだ。あいつには友達が少ない。みんなあいつを恐い存在
としか見ていないからだ。本当は少しいい奴だと思う。でも、欲望に絡まれる
とどんな手段を使っても手に入れるというあいつの執念は僕は許せない。だか
ら僕はあいつがあまり好きではない。でも、一応あいつに近づいて見たのだ、
マサトと一緒に。他の奴があいつに近づこうとしてるのは僕は見たことがなか
ったからだ。だが近づいて見た時、あいつに友達がいないわけがわかった。な
んか僕達とは違う人間だったからだ。それに性格がむかつくからもある。そし
て今も、僕達以外にあいつに近づこうとした人は見たことがない。        

あいつは孤独な人間だ。でも、人間はみんな孤独な生き物だと僕は思う。たとえ
友達がたくさんいたとしても、そのたくさんの友達のうちの一人の心の中も完全
に見る事は出来ただろうか。答えは絶対にNOだろう。人は、互いに完全に分か
ち合える事などあり得ない。人はつねに一人だから。孤独だから。



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