− NO BELiEVE −





第2話  コントロール不能!



「アタシの事、好き・・・? 好きって言って!!!」
「ねぇ、アタシと一緒になろうよ。心も、体も、全部!」
「アタシはあなたの事が好きなのよ・・・」
「んっ、くぅっ・・・。・・・これで・・・一緒・・・だね・・・」
「大丈夫、少し痛くなって来たけど。もっと欲しいの・・・。お願い!」
「アタシ、もし出来ても産むから!あなたと一つになったものだもの」
「ありがとう・・・。アタシなんかを・・・受け入れてくれて・・・」
「アタシの事、好き・・・?」
「ねぇ、アタシと一緒になろうよ」
「アタシはあなたの事が好き・・・」
「これで・・・一緒・・・だね・・・」
「大丈夫。少し痛くなって来たけど」
「もし出来ても産むから!」
「ありがとう・・・」
「・・・・」

バァン!!

僕は頭に強い衝撃を感じた。ふと起き上がると前に川谷のババアがいる事に気
付いた。僕は寝てしまったらしい。ババアは木の1メートル定規を持っている。
多分それで僕を叩いたのだろう。

「指導!!授業が始まる前からずーっと寝てるとはなんですか!」
「うーん、いててて・・・。あれ!今何時間目?先生。」

川谷は凄いあきれたような顔をしながら、

「今は5時間目ですよ。狭間大先生。」
「あ、そう。えっ!」
「はぁ・・・。はい、授業続けますよ。1974年ヨーロッパで起こったワールド
ウォー3がヨーロ・・・」

えっ!もう5時間目!朝のホームルームから後の記憶が無い!
ずっと寝ていたのかも!でも信じられない。普通誰かが絶対に起こすのに・・・。
僕はすごく気になったので、二つ隣後ろの席のマサトに聞いて見た。

「なぁマサト」
「なんだ?」
「俺、ずっと寝てたか?」
「ああ、ずぅーーーっとだ。朝からずぅーーーーーっと寝てたぞ」

嘘!!やばい!本当に眠ってたんだ!!ファーストとの約束破っちゃったな・
・・。一応謝らないと。僕はファーストに話し掛けるため、眠る体制に入った。

少し暗いカズキ自身の心の中に・・・いた!女の子の人格のイメージが。

”ファースト・・・。ごめん!”
”うーん、なによぉ?”
”僕、本当に寝ちゃったんだ。本当にごめん!!”
”アンタがねちゃうとアタシもねちゃうのよ!わかってんのバカ!”
”ごめん・・・”
”まあ、いいわ。じゃあ、またあとで。”

ファーストは今まで怒ってた顔に少し微笑みを浮かべてくれながら言ってくれた。

”うん・・・ごめんね。”

そして、僕は起きた。ファーストも許してくれたみたいだし。よかった。
ほっとした途端、ある疑問を思い出した。

「ねぇマサト」
「ん、どした?」
「何でだれも僕を起こしてくれなかったんだよ?」
「俺が起こそうとしたさ。でもレイカが止めるんだよ。カズキを寝かせてあ
げなさいよぉ。ってね」
「レイカが?」
「そう、レイカが」

なぜ?いつも眠たそうにしてるからかな?ふとレイカの方を向くと、レイカは
真面目に授業を受けている。頑張ってるなぁ・・・。なんかすごい真剣に聞い
てるような気がする。少し近寄りがたいような・・・頼もしいような・・・そ
んな雰囲気になってるな、レイカは。

それにしてもさっきの夢みたいなの、いったいなんだったんだろう・・・。あ
の子は、誰なんだ?暗くて顔が見えなかった。でも、すぐ近くに居そうな感じ
の子だったなぁ。考えてると、また眠くなっていく・・・。

ZZZ・・・



「おいカズキ!カズキ!もう昼飯だぞ。どっか食いに行こうぜ!早く起きろよ!
おいっ!!」
「う、うーん・・・。また寝ちゃったかぁ」
「何でそんなに寝てられんだよ」
「授業は暇だ」
「くそ!なんでこんなんでオール5が取れんだよ、おめーは」
「やっぱ天才は違うよね。」
「くそ・・・。おまえは大学卒業したんだもんな、ハーバードだっけ」

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あまり触れて欲しくない話題になって来た。僕は悪夢ともいえる過去をおくっ
て来たから。カズキは自分の母親に幼児のころから超エリートの勉強をさせら
れて来た。そして僕の父さんは、世界的に有名な科学者で、家に戻ってくる事
はほとんどない。そして4年前に大学に入り、2年前に卒業。そんなエリート
勉強と孤独感に耐えきれず、カズキ・サードは僕とファーストという人格を生
み出してしまった。つまり僕は生み出された、造らされた物。あの悪魔のサー
ドによって。サードはなぜか、彼は僕らを造ってからすぐに、自分の殻に閉じ
こもってしまった。
僕という人格が出来たのも、サードが大学に入って一年後のころだった。サー
ドは自分の価値観を考え過ぎたんだ。その絶望感を寂しさが補足させてしまっ
た。そしてファーストがカズキの体をコントロールする事になったんだ。僕は
嫌だったし、サードは自分の殻に閉じこもってる。だがファーストは自分自ら
コントロールしたいと言って来たからだ。しかし大学卒業した次の日、ファー
ストはこの自由のない生活に怒りが頂点に達した。そしてその日、母さんが大
学院に入れなどというようなことを言って来た。ついにファーストは切れ、母
さんにこういった。

「僕はもうこんな自由のない生活は嫌なの!もう僕は誰の指図もうけない!も
う僕は自分の道を自分で造る!」

そして僕は自分で勝手に書類を書き、アメリカの中学に入った。そこで僕とフ
ァーストは中学生活を楽しんでいた。ファーストセカンドという合体人格にな
って。しかしサードはただじっと心の中で僕達を見ていた。自分の殻に閉じこ
もってたのだ。
半年たったある日。母さんが学校に僕を退学にするよう電話した。あの時つい
に僕はきれた。殺してやろうと思った。その時サードが自分の殻から出て、無
理矢理僕らをコントロールからはずした。そしてサードがコントロールするよ
うになり、またカズキ自身は母さんの人形のようになってしまった。もう死に
たい・・・。そんなことを僕とファーストでい言い始めてた時、母さんがトラ
ックに跳ねられて死んだ。そしてサードは自分の殻にまた閉じこもってしまっ
た。

葬式の時、父さんや親戚が一同に集まった。その時に父さんが僕に言った言葉
が僕の脳に今も焼き付いてる。

「何で、嬉しそうな顔してるんだ!」

そう、僕らは嬉しかったんだ。サード以外は。母さんが死んだショックはあっ
たが嬉しかったんだ。たとえ心はすごく暗くなっても顔が嬉しがってしまう。
少しは悲しかった。だが、それより嬉しかった気持ちの方が上だったんだ。
僕はその自分自身笑いたくなる気持ちがすごく嫌だった。消したかった。僕の
存在自身を。
そして、父さんに日本に戻って普通の生活を朝奈一家と一緒にしろといわれ、
僕らは喜んで日本に戻った。過去は捨てる!という決心僕はをその時にした。
だが実際問題、殻に今も閉じこもったサードがカズキの心の中に今もいる。そ
れは逃げる事の出来ない事実だ。

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「俺のババアに無理矢理ね・・・アメリカに連れて行かれたんだよ」
「そして約1年半前にここに引っ越したって事か・・・」
「うちのクソババアが死んでね」
「なあ、おまえそんなに自分の母親を憎んでるのか?」
「ああ・・・、あのとき母親が死んだ時、悲しくても体が微笑んでしまった、
あの自分で自分をコントロールできなかった自分がね・・・」

バァン!!

僕は壁をおもいっきし殴った。壁に血が少しついた。手の皮膚が少し破れて血
が出てるが、僕はかまわず壁に拳を押しつづけてる。
あの時のことが頭の中を駆け巡る。


「絶対殺してやるわ、あのくそババア!!」
「やめろ!!ファーストセカンド!」
「サード!!」

「母さんが、死んでしまったんだ・・・」
「大丈夫。母さんなんか、いない方がいいよ。」

「何で、嬉しそうな顔してるんだ!」

過去は捨てたんだ!!

過去は捨てたんだ!!!

過去は捨てたはずなんだ!!

”じゃあ、なんでそんなに苦しんでるの?”



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