− NO BELiEVE −





第1話  透明な告白



ゲンザイ、1997ネン9ガツ18ニチ7ジデス。オキマショウ!
オキマショウ!!オキマショウ!!!オキマショウ!!!!

「うーん、うるさいなー」

パチ。

「ZZZ・・・・」

「カズキー!カズキー!!」
「ZZZ・・・・」
「おきなさいよ!バカカズキ!!」
「うーん・・・」

目をこすりながら開けた時、茶色い髪をした少女がベッドを上からのぞ
きこむようにして見ている。

「うーん、何だようるさいな。もう少し寝かせてよ」
「な、なんですって!もう起きなさいよ!もう七時半なのよ!このバカ
カズキ!!」

僕は目を完全に開けた時、レイカがベッドの前に立っていたのが見えた。
もう制服を着てる。

「もう朝なのー、レイカ?」
「バカね・・・」

レイカは怒ってるようにもみえたが、笑っているようでもいた。
僕はしばらくそのレイカの隠された微笑みを見つめていた・・・。
レイカの顔が部屋の上の方にある出窓から入って来てる朝日に照らさ
れてる。なんかそのきれいな姿に僕はただただじっと見つめていた・・・。

さすがにレイカも気付いたみたいだ。顔を少し赤くして、

「な、なにアタシの顔見てんのよ。もう・・・。早く学校に行こう!下
で待ってるからね!」

レイカは顔をもう少し赤くして言って下に降りていってしまった。僕は、慌てて顔
を洗って制服に着替え、下に降りた。下にはレイカがソファーに座ってた。

「ごはん作ってよ、カズキ」
「たまにはレイカが作ればいいじゃんか」
「あらそう?じゃあアタシが作ったごはん、全部食べてくれる?」

前にもこのような口喧嘩があった。そしてレイカが朝御飯を作る事になったのだが
あの真っ黒こげになったトーストに冷たいウィンナーは二度ともう食いたくはなか
った。

僕は自分がこんなことを言ってしまったのを少し悔やんでから、

「・・・・食べない・・・」
「でしょ!ほらやっぱ、あんたってほんとバカね!早く作りなさいよ」
「へいへい」

面倒くさいなあと思いながらも僕はキッチンのコンロの方に向かった。
僕は食パンを2枚取り出し、トースターに入れた。
冷蔵庫を開けると、ハムとウィンナーがあったので、取り出した。
いつもなら、卵とレタスもあるはずだけど何故か消えてる。アヤちゃんが行く前に
食べたな。僕はそう確信した。
アヤちゃんは東京、上野の近くにあるプラスチック製造会社で働いてる。
上野はここから地下鉄で25分ぐらいだ。会社は8時から始まるらしい。
だから7時15分には家を出てってしまう。僕も仕事を持つようになったらこんな
に早く起きなきゃいけないのか、そんなことを考えていた時、

ポン!

パンがもう焼けてしまった。僕は慌ててパンを取り出し、皿に乗っけた。しまった。
ウィンナーを煮るのを忘れていた。

「パン、もう焼けてるわよ」

ふと後ろを振り向くとレイカがテーブルに座ってテレビを見ている。

「まだウィンナーが煮えてないんだよ」
「ふーん」

なんか納得したような納得してないような、あいまいな言い方だった。
まあいっか、と思いつつも、ウィンナーをじっと見ていた。
丁度いいぐらいになるにはあと10秒ぐらいだと僕の長年の感で察知した。

僕は料理は得意なほうだ。そりゃ毎日朝と昼作ってるんだもん。
嫌でも下手からは抜け出せる。レイカも僕の料理の才能だけは認めてくれてるし、
僕自身僕の料理で人が喜んでくれたら、僕自身も嬉しいんだ。多分僕は料理は好き
なんだ、と自分では思う。

そうこうしているうちにもうウィンナーは完全に煮えていた。皿の上にハムとウィ
ンナーをのっけて、パンと一緒にテーブルの上に置いた。

「えー!今日これだけ?なんか寂しくなーい?」

たしかに。今日はハムとウィンナーだけだ。確かに僕もそう思う。
いつもなら、これにスクランブルエッグなどがあるはず。

「うん、卵がなくなってたんだ。ごめんね」
「すぐ謝らなくていいって。もう、そんなのあんたが悪い訳じゃないわよ。
どうせアヤが朝使っちゃったんでしょ。そんなことより、もう早く食べないと
遅刻しちゃうわ」
「そ、そうだね。いただきまーす」
「いっただっきまーす!!」

僕達は食べはじめた。レイカは僕の真正面に座って、ハムとパンを食べてる。
いつも通りの席の座りかただ。いつもの席の座りかたとしては僕のとなりに
アヤちゃんが座ってて、僕の真正面にはレイカが座っている。そしてレイカ
の隣にはヤスコさんが座っている。もっとも、ヤスコさんと一緒にごはんを
食べる時など6ヶ月に一回あるかないかだが・・・。
ヤスコさんは一体どんな仕事をしているんだろう。本当にいつも仕事をして
いるんだろうか?アヤちゃんもレイカも国に関する仕事という事以外はほと
んど知らないらしい。少なくともレイカははっきし言ってヤスコさんの事を
良く思ってないだろう。それどころか憎んでるといってもあながち外れでな
い。それもそうだろう。ほとんど会ってないのだから。

そんなことを僕は考えてるあいだに僕達はごはんを食べおわった。僕は食器
をキッチンにもって行こうとしたが、

「もうそんなのあとででいいじゃない。早くしないと遅刻だよ」
「あ、そうだね。じゃ、もういこっか」
「うん!」

僕はこっそりとポケットにあったガムを口に入れ、レイカと外に出た。
今日も天気は相当いい。でも今は9月の中旬だ、そうとう暑い。

「やばいよカズキ!!もう8時15分よ!走ろう!」
「まだ間に合うよ。それに暑いし、」
「アンタ、そんなこといってて二日前に遅刻しちゃったばかり
じゃない。アタシをまきぞえにしてね」
「わ、わかったよ。走ろう」

僕達は走った。でもレイカも僕もそんなに早く走らず、軽いランニング程度のスピ
ードで走った。でも今日はなぜか僕の走るスピードがレイカより遅い。レイカが少
し前から僕を見つめる。

「ねぇカズキー、何食べてるの?」

ばれたか。

「・・・ガム」
「そんなの食べてるから遅くなるんだわ!まったくバカカズキなんだから!」
「一枚欲しいの?」
「ちょうだい」

やっぱすなおじゃないな。そう思った。

「なによぉ、なんか文句あるなら言いなさいよ」

僕の文句の言いたそうな表情が顔にでてしまったようだ。ふとレイカの方を見
るとガムを人差し指と中指に挟みながら、少し笑っている。なんかものすごく
かわいい気がする・・・。

レイカは学校では相当人気がある。僕はレイカの事が好きな奴を何人も知っている。
半年ぐらい前にそのうちの一人に、

「おまえとレイカは同棲をしてるんだろう。毎晩楽しみだな。うらやましいよ。
おまえとレイカがひとつ屋根の下だなんてね」

恐らく嫉妬してるだろう。まあ、二度とそいつの口からその様な話題は出なくなっ
た、というより出さなくさせた。今ではもう言われてもあまり気にしなくはなって
きたけど。

そうこうしているうちに学校の校門が見えて来た。僕が腕時計をちらっと見るとレ
イカが、

「今何時?」
「8:28分だよ」
「ぎりぎりセーフね!」

レイカがほっとした様子を見せた。そのほっとしたような感じのレイカも相当かわ
いい・・・。うちの学校の男どもに人気あるわけだ。でもレイカはそれほど学校の
男に興味があるとは思えない。この前、レイカの靴箱にラブレターらしきものが5、
6枚入っていて、帰る時レイカが靴箱を開けた途端、その手紙がおっこってきた。
レイカは見もせず、その手紙を無視するように、「カズキ、さっさと帰ろう」と言
って来た。この時から僕は、レイカって誰か好きな人いんのかなぁ?っていう疑問
が生まれたのだけど、いまだ聞いた事は無い。

僕達は靴をはき変えて、教室に入った。もうほとんどみんな中にいた。
残り3、4人っていうとこかな、来てないのは。僕は席に座って一息ついた。

「ようカズキ、ぎりぎりだったなぁ」
「ああ、今日は僕、寝過ごしたからね」
「おまえ、そう言ってておとといも遅刻したばっかじゃんか」
「最近眠くってね」
「レイカの事が気になってか?」

バキ!

僕はタクトをおもいっきりぶん殴った。タクトは床にぶったおれた。

「一生寝てろ。クズ!」

この大馬鹿野郎は宮崎タクト、15歳の超スケベ野郎だ。何故か知らないけど僕と
同じクラスになってから、僕と友達になろうとしてるけど、こんなデブな変態野郎
とは友達にもなりたくない。実際、噂によると女を襲った事もあるらしい・・・。

「なにやってんだ、ふたりとも朝っぱらから?」
「ああ、マサトか。この巨体をどうにかして、この日本の土地不足を解消し
てくれ。このデブは土地をとりすぎだ」
「焼却炉まで持ってくか?」

マサトがいったその案を僕は本当に実行したかった。

羽柄野(うえの)マサト、14歳。僕の親友といえるような存在だね。
マサトも結構頭が良く、スポーツも出来る。マサトは相当もてる男だね。
僕からみたら女たらしの金髪野郎、でもいいやつだ、本当は。

いつのまにか、タクトは起き上がっていた。

「うーん・・・」
「・・・」
「みんなひどいなぁ、せっかく新しく手に入ったいいエロ写真を見せてやろうと思
ったのに」

バキ!

「一生その写真でぬいてろ!一生オナニストめ!!」
「こいつ、なんかいか臭くねーか?」
「あはは、本当だよね。でもそんなことよりこいつ、僕の机の前で死んでるの、止
めてくれないかな」
「こいつ、毎日お前に殴られてるもんな」
「だってしつこいんだもん。なにかとはなすとエロいことか、レイカのことばっか
なんだぜ。殺してーよ、本当に」
「でもいいじゃん。レイカとのうわさだったら」
「なぐるぞ!」
「わーったよ。もういわねーよ」
「わかればよろしい」
「ふーん・・・、そんなにアタシとうわさになるのがいやなの」
「レ、レイカ?!」

突然のレイカの出現に僕は驚いた。

「そんなにアタシのこと、嫌いなの?」
「そんなことないよ。僕がレイカの事嫌いなはずないじゃんか。僕はただ、レイカ
とそういう関係だっていうデマを聞きたくないんだ。僕らが勘違いされるっていう
のが凄くやなんだ。レイカもやだろ、そんなのって」
「・・・そうかもしれないわね。今は・・・」

どういうことだ。かもしれないって?なーんかひっかかるな。

「ねぇレイカ・・・・」

きーんこーんかーんこーん、

「あ、チャイム鳴っちまった」
「おらー!みんな席につけー!ほら、朝奈に羽柄野!!はやくせきにつきなさい。
宮崎も早く起きて自分の席につけ!」
「ちっ」
「・・・・」

レイカは自分の席へと戻った。マサトは先生の方を鋭い目つきでにらんでから、
席へと戻っていった。マサトはこの静谷先生の事をそうとう嫌ってるからだろう。
静谷にマサトは暴力的な言葉はほとんど毎日言っているといってもいい。
原因は静谷がマサトの金髪にいちゃもん付けまくってるからだろう。そして少し経
ってからタクトも立ち上がって頭を触りながら自分の席に戻っていった。

それにしてもさっきのレイカの言葉、なんだったんろう・・・。
・・・・・・かもしれない・・・。確証がもてないって事か。わからない。
ひょっとして僕の事が、まさかね・・・・。


”あんたって本当、鈍いわねぇ、セカンド。本当にアタシと同じカズキィ?”


いきなり僕に話し声が聞こえてきた。

ファーストだ。僕の多重人格ゆえに生まれた人格。サードが作り出した人格だ。
ファーストは女の人格で,今は直接僕の頭に話し掛けている。そっと目を閉じると
僕はファーストもサードもいるカズキの心自身に入れるのだ。その時僕は外見では
眠ってしまうのだけど。

「ちょっと待っててよ。一時間目外国語だから、その時話しあおうよ」

僕は小さな声に出していった。多分ファーストには聞こえただろう。今、寝てはま
ずいからだ。静谷がすぐに教育的指導とか言ってぶん殴ってくるからだ。返事は無
いけどわかる。今の声がファーストに聞こえたってことは。いつも一緒に心の中に
いるから、ファーストという、性格をすみからすみまで知ってるつもりだ。僕は自
分が多重人格なのを後悔していない。なぜなら僕には、ファーストという、何でも
分かちあえる人格がいるから。サードという、残酷な人格もいるという最悪な欠点
もあるが・・・・。



第2話へのリンク、
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あとがき:

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あと、大きな文法の間違いも・・・。(^^;)

一応18禁です。
これからもよろしくお願いしますm(__)m。
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