− NO BELiEVE −
第30話 サードの抑圧
「夢の現実化、それは悪夢の現実化。
死への衝動を押さえきれず、そのまま死へと導く」
夢・・・・・希望?
「あなたの夢は、何?」
夢・・・今の夢・・・ユキちゃんと・・・結ばれたい・・・
「現実になれる?」
なれない・・・・なれない。なれないよ!!
B.G.M. Komm, susser Tod - ARIANNE
なんで・・・なんでこの歌が流れるの・・・?
「なんの歌?」
エヴァンゲリオン・・・映画の歌・・・・
「どんな歌?」
悲しみに満ちあふれた歌・・・
「ユキとどんな関係?」
・・・初めて泣けたんだ・・・
初めて泣いたんだ。この歌を聞いて、この歌を聞きながら、初めて泣けたんだ・・・
ユキちゃんとシンクロさせて・・・
B.G.M. 冷たくしないで - Eriko with Crunch
今度は何・・・なんでこれが流れてくるの・・・?
「今度はどんな歌?」
これも・・・・切ない歌・・・
恋人がいるのに好きになってしまった人の歌・・・
「今度は何で?」
これも・・・・ユキちゃん・・・・
僕はユキちゃんが好きなんだ、でもユキちゃんには彼氏がいる。
「だから?」
だから無理なんだ!だから、だから無理なんだ!!!
「なんで?」
彼氏いるんだよ!無理に決まってるじゃないか・・・・
「どうして?」
彼氏の方が好きに決まってるよ、心底から・・・
それに、それにユキちゃんは僕のいとこなんだよ!
親戚だもん・・・無理に決まってるよ・・・
もうこれ以上、これ以上僕にユキちゃんの事思い出させないでよ!!
「ねぇ・・・ユキのをしてよ」
「いいのか?」
「うん、だってユキ、好きだもの・・・」
「ユキ・・・」
「ん・・・あ、あん・・・い、いい・・あっ・・」
「いくぜ・・・」
「あん・・・・恐い・・・・」
「大丈夫、痛くしない・・・約束する」
「・・・ん・・・い、痛い・・・痛い!」
ピチャ・・・・・
僕の顔に・・何かがついた・・・
親指でそれをぬぐいとる・・・
血・・・・
ハ、ハハ、ハハ・・・・・うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!
わあああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああ!!!!!!!!!!!!!
・・・・・・・・・・・・
ハ・・・ハハハ・・・・なんだよ・・・・それ・・・・・そんなの・・・・・
ユキちゃんもう22だよ・・・・・しかたないよ・・・・ハハ・・・・・くっ・・
くぅ・・・・
「なにを、泣いてるの?」
・・・・・・・・
「これでも、ユキちゃんといっしょになりたい?」
過去は・・・関係ないよ・・・
「これが、今起きたとしたら?」
嘘だよ・・・嘘だよそんなの・・・嘘だと言ってよ!!
「今現に、今これは起きたわ、今アナタは目の前にした」
う、う・・・嘘だ!!こんなのまやかしだ!幻だ!!夢だ!!!
「まだ子供だから、そういうの信じる事が出来ないのね」
ああ・・・僕は子供だよ・・・だからなんなんだよ。
「チェリーなのね?」
なにが関係あるんだよ。
「童貞なのね?」
・・ああそうだよ、だからなに・・・
「本当に?」
本当・・・だよ・・・・
「本当に?」
嘘・・・・じゃない・・・
「嘘じゃないのね?」
うっ・・・くぅ・・もう思い出させないで!!もう近親相姦させないで!!!
いやだ、いやだよ!!助けてよ!!僕をあの悪夢から助けてよ!!!
「・・・・カズキ、いっしょにお風呂入るか?」
「うん、父さん」
やめてよ・・・・
「なあカズキ・・・」
やめてよ・・・・
「な、なにしてるの!?痛い・・・変な所触らないでよ・・・」
やめてよ・・・・
「じっとしてろ・・・・」
「いや、やめてよ!やめてよ!!」
「じっとしてろって言ってるだろうが!!!!!」
やめてよ・・・・もう見せないで・・・・
「う、うえ、うえ、いや!!やめて!!やめて!!!」
「ほらぁ・・・気持ち良いからだまってろ」
「う、いや!!いやだ!!!い、いた!!いたい!!!!!」
流血
「うく・・・・締まるな・・・」
「いたい!!!!いたい!!!!!いたいぃぃぃぃぃ!!!!!!」
「うるせー!!!!」
ガン!!!
「うっ・・・・・」
やめてよ!!!もう思い出させないで!!!!
うっ・・・・うぇー・・・・はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、うぇ・・・・
もう・・・死にそう・・・うぇー・・・ぜぇ、ぜぇ・・・
「なに吐いてるの?これはアナタの過去なのよ」
もう汚されちゃってるんだ・・・・僕自身汚いんだ・・・・
僕自身汚いんだ・・・・
もう汚されちゃってるんだ・・・・僕自身汚いんだ・・・・
汚いんだ・・・汚されてるんだ・・・
気持ち悪い・・・・なにをすればいいの・・・・
もう嫌だよ・・・・僕なんか存在しなくていいんだ・・・・
こんな汚れた僕なんか・・・・
「ねぇ、今日も元気?」
「・・・・・・」
「今日は何して遊ぼうか、サリナ」
「・・・・・・」
「着替えするの?じゃあ僕が着せてあげる」
「・・・・・・」
「それじゃいっしょに寝よう、おやすみ」
「・・・・・・」
サリナ・・・あの時唯一の友達だった・・・
いっしょにいつも遊んでた・・・あれと・・・・
「今のアナタは、誰?」
僕は・・・セカンド・・・
「この記憶は、誰の?」
サードの・・記憶・・・
「なんで・・・なんでアナタが知ってるの?」
・・・・・・・・
「サードって・・・誰?」
・・・・・僕だよ・・・
「アナタは誰?」
セカンド・・・・
「サードは?」
僕だよ・・・
「嘘の人格に記憶を押し付ける事で、自我を保ってたのね」
・・・・・・・・・やめてよ・・・・
「アナタが・・サードだったのね」
・・・・そうだよ・・・
「なら、あの女の子は?」
あれも・・・・サードだよ・・・
「サリナね」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・知らないよ、そんなこと!!
「自分を偽って行かないと生きていけないのね」
うるさい・・・・
「過去に出来た人格をすべてサードという人格でまとめて、アナタは抜け出した」
・・・・・・・・
「セカンド・・・アナタの名前は?」
カズキ・・・・
「ファーストの・・名前は?」
・・・・・・・・・・
「なぜ言わないの?」
知らない。
「本当に?」
・・・・・・・・・・・
「本当に?」
・・・・・・・・・・・
「・・・・・・」
もう・・・殺して・・・死にたい・・・・
生きてても無駄だから・・・死にたい・・・・
「ファーストが誰だか、知ってるんでしょ?」
・・・・・・・・・・
「だったら、現実のファーストはアナタを必要としてる・・・・」
「嘘ばかり・・・言わないでよ・・・」
「なら・・・現実に戻ってみなさい」
「・・・・もうこんな、こんな夢2度と見ないから・・・おまえにも会わない」
「また会う機会有ったら、会いましょ、じゃあね」
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「・・・・・・・」
目がさめたら・・・ベッドの上。
ここは・・・僕のベッドの上・・・ふと隣を見る・・・・
レイカが目を閉じて、静かな寝息を立てている・・・
レイカ・・・・・
「う、くぅ・・・・・うう・・・・・」
とめどなく涙が溢れ出る・・・・
「・・・どうしたの?」
「!!」
レイカがふと目を開けて僕の方をじっと見る。
「・・・・い、いや、大丈夫だよ・・・」
「・・・そう・・・ねぇ、カズキ・・・眠れない」
「眠れない・・の?」
「うん・・・・・カズキ・・・どんな夢見たの?」
「!!!・・・なんで?」
「さっきからずっと・・・・寝ながら泣いてた・・・」
寝ながら・・・泣いてた・・・・・見られてた?
「・・・・大丈夫?」
「・・うん・・・ありがとう、でもへいき、たんなる夢だから・・・」
「そう・・・・ねぇ、カズキ」
「なに?」
「・・・アルバム、結局今日見れなかったね」
「・・・そうだね」
「今、見ちゃおうよ!」
「え?今!?」
「どうせもうねれないでしょ!アタシもカズキも!」
「うん・・・・」
「だったら早くつけてつけて!どうせ寝れないんだから!」
「はいはい」
「アンタのからよ」
「・・・はいはい」
僕はベッドから出て、DVDプレーヤーに僕のアルバムを入れ、再生した。
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