− NO BELiEVE −





第13話  肉親への憎しみ



シュー・・・・・

「ここがカズキの部屋ね」

ゴソゴソ、

「えーっと、これを枕の中に入れればいいのね・・・・」

"Escarte System"

ピッ!

「これでよしと・・・・」

シュー・・・・バタン。

− − − − − − − − − − − − − − − − − − − −

シュー・・・・・

ドスン。

ふぅ・・・・

僕は今日もすべて仕事は終わったとおもい、ベットに横になった。
今日も一日すごく疲れた気がする。
ヤスコさんは一体何しに家に戻って来たんだろう。
あのあと夜ご飯を食べてからすぐにまた仕事場に戻っていったし・・・

やはりレイカはヤスコさんには不自然な態度とりっぱなしだった。
無理もないとは思ってたが・・・・なんかヤスコさんは隠してそうな気がする。

アースハイセンター計画?あれは国連が提案した浮島作成計画。
別に何も隠すような事はないとは思うが・・・何かあるのだろうか。
大体なんで浮島など作らなきゃいけないのだろうか。
謎だらけだ。

ま、考え込んでもしかたがない。
考えるだけじゃ何も答えは浮かばない。
僕には関係ないと思い、この疑問をさっさと片付けた。

僕は部屋を出て、1階にあるリビングに降りた。


リビングに降りると誰もいなかった。
いつもならアヤちゃんがここで何かしてるのにな。
アヤちゃんも自分の部屋に行っちゃったのかな?
僕は冷凍庫からアイスを一個取りだし、それをリビングにおいてあるテレビの前に
あるテーブルにおいて、テレビをつけた。

「ピッピッピッポーン」

僕はぼーっとアイスを食べながらテレビを見ていた。
いつのまにかもう9時だ・・・風呂入れて来ないといかないとおもい、僕は席をた
ち、風呂場の方に向かった。いつも風呂を入れるのが僕の最後の仕事だ。とは言っ
てもただお湯で湯船を埋めればいいだけなので仕事といえるかどうかはわからない
けどね。

「ピッ、セッテイ、セッシ41ド」

設定完了。電子レンジと同じだ。ワンタッチ。
そして僕は風呂場から出ようとした時、

ガチャ

「あら、カズキ君。何してるの?あーお風呂入れてくれたの?ありがとね」
「アヤちゃん、どうしてここに?」
「いや、カズキ君お疲れって感じで、アタシが今日はお湯入れようかなって思ったの」
「そうなんだ。ありがとう。いや、でも今日は本当に疲れましたね」

確かに今日は疲れた。いきなりのヤスコさんの訪問。それだけでも十分疲れてしま
ってた。久しぶりの訪問だからって料理ちょっと張り切り過ぎたのも原因だとおも
うけど。でもおいしいってみんな言ってくれたから良かったけど。

「本当に今日はご苦労様。料理もおいしかったし、結構楽しめたわ」
「そうですか・・・・」
「あら、楽しくなかった?」
「いや、僕はそんな事無かったんですけど・・・・」
「レイカ?」
「はい・・・」

そう。レイカはどう見ても楽しんでなかった。

「しかたないわよ。あの子お母さんの事、憎んでるもの」
「・・・・どうして、肉親を憎まなきゃいけないんでしょうね・・・・」

アヤちゃんは少しだけ深刻な顔になって言った。

「じゃあ、カズキ君はリョウコさん、アナタのお母さんを憎まなかったの?」

!!!

「・・・憎んで・・・ました」
「そう、あの子もおんなじよ」
「そ・・そうですね・・・・同じ・・ですね・・・」

僕は少し自己嫌悪に陥ってしまった。
また僕一人の視野にとらわれて、僕一人の自己中な考えで世の中を見てしまった事
に。人間そうなんだ。例え肉親であろうと、誰であろうと嫌いだったら無理矢理好
きになれるものではないのだ。僕だってそうなんだ。僕にとって自分の母親はもち
ろん、父親さえも好きといえる存在じゃない。両方とも冷酷で、自分勝手で、家族
なんか目にもかけない人達だった。そしてそれは、今思うとヤスコさんも同じだ。
でも、ヤスコさんは冷酷だろうか?いや・・・ただ単に僕は知らないだけなのかも
しれない。なんせ、僕はヤスコさんと今日を入れてまだ5回しか会ったことがない
のだから・・・僕の父さんと同じだ。レイカが嫌っても不思議でない。僕もレイカ
にとってのヤスコさんと同格の存在を好きではいないのだから。でも、それを考え
ると僕はある疑問を思い浮かんだが、その疑問を口にする前にアヤちゃんの方から
話しだした。

「・・・ごめんね。思い出したくないような話をさせちゃって」

確かにこの話はあまり思い出したくないような話だった。ほとんどの人には思い出
したくない過去が存在してるって聞いてる。確かにこれは僕にとっては思い出した
くない過去だ。でも思い出したくないからって一生思い出さなくてもいいのだろう
か?確かに思い出さなきゃ嫌になる事はない。でも人間は過去を忘れる事は出来な
い。しかたがないんだ。それにこんな嫌な過去があるからこそ人に少しでも優しく
出来る自分がいるのだと思う。
今のアヤちゃんの発言には全然悪い事は言ってない。謝るような事は何も言ってい
ない。むしろ、その発言に感謝をするべきだとおもう。人の事をより深く考えられ
る、つまり思いやる事が出来るきっかけみたいな事が出来るようになれるかもしれ
ない。そう簡単にきっかけなんて出来るはずが無いが、取り合えず僕はアヤちゃん
の謝罪を真っ先に否定した。

「いやいや。全然気になんかしてないよぉ」
「そ、そう?よかった」
「でも・・・全然アヤちゃんもヤスコさんには会ってないんでしょ?」
「・・・えっ、ええ」
「ならなんでアヤちゃんは自分の母親にたいして僕やレイカみたいな感情を持たな
かったのかなって・・・・ちょっと疑問になっただけ」
「そんな事はないわよ。アタシだって母さんの事憎んでた事あったわ」
「ふうん。そうなんだ、じゃあ今は?」
「えっ?今は・・・今も、そうかもしれない・・・でも、昔の憎しみと、今の憎し
みとは、種類が違うわ・・・・」
「えっ?ど、どういう事?」

”お風呂が、沸きました。お風呂が、沸きました。”

「あ!お、お風呂、沸いちゃったわ!じゃ、じゃあお先に入っちゃうわね!」
「ちょ、ちょっと・・・!?」

僕はすごく気になった。昔の憎しみと今の憎しみとは種類が違う・・・なんか深い
意味が有りそうだ・・・・話をはぐらかそうとするアヤちゃんの態度も怪しい・・・・

「な、なに?」

完全にドモッてる。聞かれたくなさそうな内容みたいだ・・・でも、知りたい。

「だから、どういう事ですか?それって」

僕はもう一度聞いた。でも返答は、

「んー、あんまりにも昔の事だから、忘れちゃった」

絶対に嘘だ。それは誰でもわかる。でも、これ以上問いただしても何も教えてくれ
ない気がしたので、僕は諦めた。

「そうですか・・・それじゃ、お風呂先入ってください」
「うん、わかった。ありがとね」

ガチャ

僕は風呂場から出た。やっぱり気になるな。さっき漏らした台詞。
でも考えても何も浮かばない気がしたので、僕は取り合えず考えるのを止め、また
ソファーに座りテレビを見始めた。



続きへのリンク、
(注意:まだ出来上がってない時はエラーになるよ。もちろん)
ホームページに戻る


あとがきへのリンク、
nobeliv@nettaxi.com